12/6,7に実施された第6回世界将棋AI電竜戦本戦に「dlshogi」というプログラム名で参加しました。
結果は、30チーム中4位と、昨年までと比べると残念な結果となりました。
所感
今大会は、NNUE系が棋力を伸ばしており、1位から3位がNNUE系で占められる結果になりました。
特に、氷彗が頭一つ抜けて強く、不戦敗を除くと、2位と3勝以上の差をつけています。
dlshogiは、60ブロックのモデルを学習したものの、H100 GPUで同一持ち時間では強くならなかったため、WCSC35と同じ40ブロックのモデルを使用しました。
今回のdlshogiの改善点は定跡のみになります。
定跡
441万局面の定跡を準備しました。
WCSC35の330万局面から、111万局面増えています。
定跡作成手法は、基本的にこれまでと同じで、手番側では定跡の最善手を指し、相手番は確率的指すという方法です。
登録した局面はNNUE系で検証を行い、評価が不一致の場合、一致するまで延長しています。
後手番対策
WCSC35では後手番の定跡で、不利になることが多かったので、今回は後手番の定跡に工夫を行いました。
定跡の最善手を掘り続けると、後手番は深く掘るほど不利であることが判明するため、大会では有効な手でも自ら避けるようになります。
損失回避を優先して、予防策を取り過ぎてしまいます。
そこで、定跡を深くまで掘らないと分からないような手は回避しないという手法を取り入れています(決勝でのみ使用)。
定跡の手数
今大会の定跡を抜けるまでの手数と評価値は以下の通りでした。
予選
| 先手 | 後手 | 評価値 | 手数 | 勝敗 |
|---|---|---|---|---|
| 奏乗 | dlshogi | -116 | 50 | ● |
| dlshogi | 奏乗 | 641 | 71 | 〇 |
| dlshogi | 十六式いろは | 814 | 59 | 〇 |
| 十六式いろは | dlshogi | -329 | 28 | 〇 |
| dlshogi | ぐうき | 451 | 67 | 〇 |
| ぐうき | dlshogi | -47 | 32 | 〇 |
| 水匠Concerto | dlshogi | 1081 | 70 | 〇 |
| dlshogi | 水匠Concerto | 727 | 87 | 〇 |
| dlshogi | 氷彗 | 2187 | 129 | 〇 |
| 氷彗 | dlshogi | -337 | 66 | ● |
| お袖狸 | dlshogi | -285 | 26 | ● |
| dlshogi | お袖狸 | 540 | 73 | 〇 |
| 鯤鱶 | dlshogi | -128 | 56 | △ |
| dlshogi | 鯤鱶 | 658 | 7 | 〇 |
【手数】
平均:58.6手
先手番:70.4手
後手番:46.9手
【評価値】
平均:418.4
先手番:859.7
後手番:-23.0
決勝
| 先手 | 後手 | 評価値 | 手数 | 勝敗 |
|---|---|---|---|---|
| 鯤鱶 | dlshogi | 1007 | 72 | 〇 |
| dlshogi | 鯤鱶 | 956 | 73 | 〇 |
| dlshogi | Qhapaqキャンセル界隈 | 426 | 11 | 〇 |
| Qhapaqキャンセル界隈 | dlshogi | -101 | 16 | △ |
| dlshogi | 二番絞り | 1664 | 91 | 〇 |
| 二番絞り | dlshogi | 63 | 40 | 〇 |
| 奏乗 | dlshogi | -147 | 50 | △ |
| dlshogi | 奏乗 | 683 | 125 | ● |
| AobaNNUE | dlshogi | -103 | 40 | ● |
| dlshogi | AobaNNUE | 399 | 11 | 〇 |
| W@nderER | dlshogi | -248 | 14 | ● |
| dlshogi | W@nderER | 552 | 17 | 〇 |
| dlshogi | 水匠Concerto | 533 | 19 | 〇 |
| 水匠Concerto | dlshogi | 35 | 52 | △ |
| 氷彗 | dlshogi | -398 | 38 | ● |
| dlshogi | 氷彗 | 588 | 67 | 〇 |
| dlshogi | お袖狸 | 445 | 63 | 〇 |
| お袖狸 | dlshogi | -222 | 40 | ● |
【手数】
平均:46.6手
先手番:53.0手
後手番:40.2手
【評価値】
平均:340.7
先手番:694.0
後手番:-12.7
定跡は、概ね問題ないですが、決勝の奏乗との対局で先手番で負けています。
定跡の評価では683ですが、定跡を抜けた後すぐに評価が反転しています。
後で調べたところ、定跡の評価値が高過ぎで、最善手も誤っていたようです。
NNUE系での検証では、マージンを持たせたうえで符号が逆の場合に延長していましたが、この場合は一致の判定されていました。
マージンの調整が必要であることがわかりました。
まとめ
第6回世界将棋AI電竜戦本戦に参加し、第4位という結果でした。
モデル開発のスケーリング則が成り立たなくなっており、NNUE系に追い抜かれている状況です。
スケーリング以外の方法でモデル精度の向上に取り組みたいと思っています。
優勝した氷彗、おめでとうございます
大会を運営してくださった主催者様、対局してくださったチームの方々、そして応援してくださった皆様にお礼申し上げます。