TadaoYamaokaの開発日記

個人開発しているスマホアプリや将棋AIの開発ネタを中心に書いていきます。

2022-12-01から1ヶ月間の記事一覧

中盤互角局面集

先日、dlshogiと水匠が互角になる探索ノード数を調べたが、初手開始局面からdlshogiはランダムありで測定していた。 初手開始局面からだと、dlshogiは序盤で優勢を築いてそのまま勝つ場合が多いため、中終盤の精度が測定できていない可能性がある。 そこで、…

将棋AI実験ノート:dlshogiと水匠で評価値の割れる局面の精度改善

第3回世界将棋AI電竜戦では、先手の角換わり定跡で、dlshogiが後手番で後手優勢と評価している局面から、定跡を抜けてから反省して負けることがあった。 dlshogiと水匠で評価が分かれる場合、dlshogiが正しくてそのまま勝ち切ることも多いが、特に中盤以降で…

拡散モデルの実装を理解できるノートブック

拡散モデルの実装を理解するために、こちらのノートブックがとても分かりやすかったので紹介する。 diffusion-models-class/unit1 at main · huggingface/diffusion-models-class · GitHub拡散モデル(DDPM)を、以下のように段階的に実装して確認できるように…

floodgateの戦型別先手勝率の変化

先日の第3回世界将棋AI電竜戦では、水匠の先手角換わり定跡の勝率の高さが注目された。 そこで、最近の将棋AI同士の対局で、戦型別の勝率に変化があるか調査した。以下の調査では、戦型の分類にMizarさんが公開されているjsonの定義ファイルを使用している。…

どの駒が評価値に寄与しているかを可視化する

dlshogiのモデルに盤面を入力すると、その盤面の評価値(勝率)を出力できる。 その際、どの駒が評価値に寄与しているか可視化できると、AIがどこに注目しているのかがわかる。 以前に、Attention Branch Networkを使って可視化を試したが、今回は、駒を除くと…

将棋AIの進捗 その60(固定プレイアウトで水匠5と互角になる条件)

dlshogiの棋力測定する際に、dlshogiの過去のバージョンとの対局だとレーティング差が実際よりも大きくなる傾向がある。 そこで、棋力測定では水匠5を加えてリーグ戦で連続対局している。普段の棋力測定では、対局条件をフィッシャールールの持ち時間で対局…

将棋AIの進捗 その59(第3回電竜戦で見つかった課題と対策検討)

第3回電竜戦では、水匠が準備した先手番角換わりの長手数の定跡が、dlshogiの盲点を突いていて定跡を抜けた時点で大差になっていた。具体的には、以下の局面の85手目の8三角打が先手優勢であることをdlshogiが見つけらず、盲点となっていた。 8三角打から…

将棋AIの進捗 その58(訓練の省メモリ化と高速化)

現状のdlshogiのモデルの訓練の実装では、訓練データが多い場合にメモリを大量に消費する課題があった。dlshogiのモデルの訓練は、訓練データをすべてメモリに読み込んで処理を行っている。 そのため、一度に学習できるデータはメモリに読み込める分に制限さ…

第3回世界将棋AI電竜戦 結果報告

週末(12/3,4)に開催された第3回世界将棋AI電竜戦に参加しました。HEROZチームとして、「dlshogi with HEROZ 30b」と「dlshogi with HEROZ 20b」という2つのソフトでエントリしました。 大会の概要 世界将棋AI電竜戦は、コンピュータ将棋開発者の有志により立…