TadaoYamaokaの開発日記

個人開発しているスマホアプリや将棋AIの開発ネタを中心に書いていきます。

【読書ノート】GitLabに学ぶ 世界最先端のリモート組織のつくりかた

書籍「GitLabに学ぶ 世界最先端のリモート組織のつくりかた」を読んだので内容をまとめる。
以下の内容は、ほとんどClaude3 Opusを使用して作成している。

はじめに

本書は、リモート組織を実現するためのノウハウをGitLabのHandbookを基に解説し、誰もが再現性を持って最先端のリモート組織を実現できるようにすることを目的としている。COVID-19を経験した現在、リモートワークは避けられない選択肢となっており、本書はリモート組織だけでなく、オフィス中心の組織にも役立つ内容となっている。本書は4部構成で、リモート組織の概要説明、移行プロセスと問題への対処法、カルチャーの醸成方法、人事制度・業務ルールの設計について解説する。GitLabはオープンソースソフトウェアの開発手法を組織に適用することで、透明性が高く、多様な価値観を持つメンバーがパフォーマンスを発揮できる組織を実現している。

印象的なフレーズ

  • 「パフォーマンスの高い組織は、誰でも再現性を持って実現可能である」
  • 「GitLab Handbook」の手法には再現性があり、着実に歩みを進めていくことで誰でもグローバルスタンダードの組織体制を構築できるはずです。

重要なポイント

  • リモートワークは避けられない選択肢となっており、効果的なリモート組織の実現が求められている
  • GitLabはオープンソースソフトウェアの開発手法を組織に適用し、透明性が高く多様性を活かせる組織を実現している
  • 本書はGitLab Handbookを基に、リモート組織実現のノウハウを4部構成で解説している

理解度確認の質問

1. 本書が目指していることは何か?
2. GitLabの組織づくりの特徴は何か?
3. 本書の構成はどのようになっているか?

重要な概念

  • オープンソースソフトウェア:誰でも自由に使用・改変・再配布ができるソフトウェアのこと。透明性が高く、多様な人々の協力によって開発が進められる。
  • ドキュメンテーション:情報や手順、ルールなどを文書化すること。組織の透明性を高め、メンバー間の情報共有を促進する。

考察

 本書が目指すリモート組織の実現は、単なる働き方の変革にとどまらず、組織の在り方そのものを問い直す取り組みだと言える。GitLabに代表されるリモート組織は、オープンソースソフトウェアの開発手法を組織に適用することで、透明性が高く、多様な価値観を持つメンバーがパフォーマンスを発揮できる環境を実現している。これは、従来の日本企業に見られるような、同質性を重視し、暗黙の了解に依存した組織運営とは大きく異なるアプローチである。
 一方で、本書の内容を実践に移すためには、トップダウンの意思決定だけでなく、組織の隅々にまでリモートワークの理念を浸透させ、全員の意識改革を促すことが不可欠となる。また、ITインフラの整備や情報セキュリティの確保など、克服すべき課題も多い。
 しかし、リモートワークの導入は、生産性の向上や優秀な人材の獲得、ワークライフバランスの改善など、多くのメリットをもたらす可能性を秘めている。本書が提示する知見を活用しつつ、各組織の状況に応じて柔軟にカスタマイズしていくことが、ポストコロナ時代における組織の成長と発展につながるのではないだろうか。GitLabの事例は、その実現可能性を示す灯台のように、私たちを導いてくれるはずだ。

第1章 世界最先端のリモート組織「GitLab」

GitLabは、オールリモート企業として世界67カ国以上の2,000名超のメンバーで構成され、透明性の高い組織運営を行っている。共同創業者のディミトリー・ザポロゼツ氏がウクライナの水道のない家からプロジェクトを始め、オープンソースソフトウェアとして開発者からの貢献を受けながら成長し、法人化から7年でNASDAQに上場を果たした。GitLabはリモートワークをオフィスワークの代替ではなく、コラボレーションのための基盤と捉え、効果的な同期・非同期のコミュニケーション設計を行っている。また、オープンソースソフトウェアの概念を組織に適用し、透明性が高く、多様な価値観を持つメンバーがパフォーマンスを発揮できる環境を実現している。

印象的なフレーズ

  • 「毎日の井戸への水汲みよりも、ソフトウェア開発者たちがコラボレーションするツールがないことのほうが問題だと感じていた」
  • GitLabは同期コミュニケーションがコラボレーションに不可欠であることを理解しており、むしろ従来のオフィスワーク企業よりも強い信念を持って同期コミュニケーションを行っています。

重要なポイント

  • GitLabは、オールリモート企業として、透明性の高い組織運営を行っている
  • GitLabはリモートワークをコラボレーションのための基盤と捉え、効果的な同期・非同期のコミュニケーション設計を行っている
  • オープンソースソフトウェアの概念を組織に適用し、透明性が高く、多様な価値観を持つメンバーがパフォーマンスを発揮できる環境を実現している

理解度確認の質問

1. GitLabの共同創業者、ディミトリー・ザポロゼツ氏はどのような環境からプロジェクトを始めたか?
2. GitLabがリモートワークをどのように捉えているか?
3. GitLabがオープンソースソフトウェアの概念をどのように組織に適用しているか?

重要な概念

  • オールリモート:すべての業務をリモートで行う働き方。GitLabは、オフィスを持たず、従業員は世界中に分散している。
  • 同期コミュニケーション:リアルタイムにコミュニケーションを行うこと。GitLabは、同期コミュニケーションの重要性を認識し、積極的に実施している。
  • 非同期コミュニケーション:リアルタイムではなく、時間差を伴うコミュニケーション。GitLabは、非同期コミュニケーションを効果的に活用している。

考察

 GitLabの事例は、リモートワークが単なる場所の問題ではなく、組織のコラボレーションや価値観に深く関わる問題であることを示している。オールリモートという極端な形態を採用しながらも、GitLabは同期コミュニケーションの重要性を認識し、意図的に設計することで、メンバー間の信頼や一体感を醸成している。これは、リモートワークを導入する際に、対面のコミュニケーションを軽視してはならないという重要な示唆を与えてくれる。
 また、GitLabがオープンソースソフトウェアの概念を組織に適用している点も注目に値する。多様な価値観を持つメンバーが、透明性の高いプロセスの中でパフォーマンスを発揮できる環境を整備することは、グローバル化が進む現代のビジネス環境において、非常に重要な意味を持つ。国籍や文化の違いを超えて、優秀な人材が活躍できる場を提供することは、企業の競争力を大きく左右するからだ。
 一方で、GitLabのようなオールリモートの組織形態が、すべての企業に適しているわけではないだろう。業種や企業規模、組織文化などによって、最適なリモートワークの在り方は異なるはずだ。GitLabの事例から学ぶべきは、リモートワークを単なる手段ではなく、組織の根幹に関わる問題として捉え、戦略的に設計していくことの重要性だろう。各企業が自社の状況に合わせて、GitLabの知見を活用しながら、独自のリモートワーク戦略を構築していくことが求められる。

第2章 リモート組織によって得られるメリット

最先端のリモート組織を実現することで、採用、エンゲージメント、パフォーマンス、コスト効率化など、人にまつわる問題の多くを解決することができる。GitLabでは、外部サービスによる匿名のサーベイで高いエンゲージメントスコアを記録しており、リモート環境でも従業員の帰属意識を高められることが示されている。また、リモート組織では、居住地に関係なく優秀な人材を採用できるため、採用の質とスピードが向上する。多様性を尊重し、インクルージョンを実現することで、あらゆるメンバーのパフォーマンスを最大化できる。パフォーマンスの可視化によって成果にこだわる風土が醸成され、非本質的なコストが削減される。オフィス中心の組織であっても、非同期業務のノウハウを取り入れることで、効率化が図れる。

印象的なフレーズ

  • GitLabをはじめとする最先端のリモート組織では、自分たちの会社に対して深い愛着を持つ従業員によって高いエンゲージメントを実現できており、優秀な社員の定着とパフォーマンス発揮へとつなげていきます。
  • リモート環境ではオフィスにいる必要がないため、必死に働いているふりをしても頑張っているからと評価してくれる人は存在しません。

重要なポイント

  • リモート組織では、高いエンゲージメントを実現できる
  • 居住地に関係なく、優秀な人材を採用できる
  • 多様性を尊重し、インクルージョンを実現することで、あらゆるメンバーのパフォーマンスを最大化できる
  • パフォーマンスの可視化によって、成果にこだわる風土が醸成される
  • 非本質的なコストが削減され、本質的な業務に集中できる

理解度確認の質問

1. GitLabではどのようにしてエンゲージメントを測定しているか?
2. リモート組織ではなぜ優秀な人材を採用しやすいのか?
3. パフォーマンスの可視化によって、どのような効果が得られるか?

重要な概念

  • エンゲージメント:従業員が組織に愛着や思い入れを感じ、組織課題に対して積極的に貢献すること。
  • ダイバーシティインクルージョン:多様な属性の人材が組織内に存在し(ダイバーシティ)、それらの人材が活躍できる環境が整っていること(インクルージョン)。
  • 非同期業務:リアルタイムではなく、時間差を伴う業務の進め方。メンバー間の依存関係を減らし、効率的に業務を進められる。

考察

 リモート組織がもたらすメリットは、採用、エンゲージメント、パフォーマンスなど、人材マネジメントのあらゆる側面に及ぶ。中でも、エンゲージメントの向上は、リモートワークの導入に伴う最大の利点の一つと言えるだろう。GitLabの事例が示すように、物理的な距離があっても、適切なコミュニケーション設計と透明性の高い組織運営によって、従業員の帰属意識を高めることは可能なのだ。
 また、リモート組織が実現する柔軟な働き方は、多様な人材の活躍を促す。育児や介護との両立、地方での生活、自己啓発の時間の確保など、従来の画一的な働き方では困難だったライフスタイルを可能にすることで、優秀な人材を惹きつけ、定着させる効果が期待できる。ダイバーシティインクルージョンの観点からも、リモート組織は大きな意義を持つと言えよう。
 一方で、リモート組織の運営には、独自の課題も存在する。コミュニケーションの不足によるメンバー間の分断、パフォーマンス評価の難しさ、セキュリティの確保など、オフィスワークとは異なる問題に直面することは避けられない。GitLabの事例に学びつつ、各組織の状況に合わせた対策を講じていく必要がある。
 また、リモート組織への移行は、単なる制度の変更にとどまらず、組織文化の変革を伴う。成果主義の浸透、自律性の尊重、透明性の確保など、従来の日本企業の価値観からの脱却が求められるだろう。トップダウンのリーダーシップと、現場レベルでの地道な意識改革の両輪が欠かせない。
 リモート組織への移行は、一朝一夕には実現できない。GitLabのような先駆的な企業の事例に学びつつ、自社の強みを活かした独自の道筋を描いていくことが求められる。その過程では、試行錯誤は避けられないだろう。しかし、リモート組織がもたらす多様なメリットを考えれば、その努力は決して無駄にはならないはずだ。ポストコロナ時代を見据えた新しい組織の在り方を、GitLabの先例は示唆している。

第3章 リモート組織を構築するためのプロセス

リモート組織を効率的に機能させるためには、8つのアクションプランを実行することが重要である。まず、リモート組織に関する認識を改め、明示することで、リモートワークを主流とする組織へと再構築する。次にリモート責任者を任命し、十分な権限を与える。さらに、ハンドブックを制定し、あらゆる情報をハンドブックに集約する。また、コミュニケーションガイドラインを明示し、ツールの種類を最低限に抑える。経営陣のデフォルトをリモートにすることで、リモートワーカーのパフォーマンスを最大化する環境をつくる。リモート作業環境を整備し、標準的な環境を提供する。最後に、インフォーマルコミュニケーションを設計し、従業員同士の親密さを生み出す。これらのアクションプランを実行し、「より良いリモートへの12ステップ」を活用することで、最先端のリモート組織を実現できる。

印象的なフレーズ

  • 「オフィスワークの補完的要素としてリモートワークを捉えることをやめ、「リモートワークに適した非同期業務のパフォーマンスを最大化させる」という前提に立った上で組織を再構築すれば、リモートワーカーのパフォーマンスが低下せず、リモートワークのメリットを十分に享受できるようになります。」
  • 「ハンドブックは、国家にたとえると憲法に当たる唯一絶対のルールブックです。」
  • 「世界最先端のリモート組織を実現するためには、経営陣などの会社におけるコアな部分からリモート化を行うべきです。」

重要なポイント

  • リモート組織を実現するには、リモートワークを主流とする認識の改革が必要。
  • リモート責任者を任命し、十分な権限を与えることが重要。
  • ハンドブックを制定し、あらゆる情報を集約する。
  • 経営陣からリモート化を進めることで、リモートワーカーのパフォーマンスを最大化できる。
  • インフォーマルコミュニケーションを設計し、従業員同士の親密さを生み出す。

理解度確認の質問

1. リモート組織を効率的に機能させるために実行すべき8つのアクションプランとは何ですか?
2. ハンドブックの役割と重要性について説明してください。
3. 経営陣がリモート化を進めることで、どのような効果が期待できますか?

重要な概念

  • SSoT(Single Source of Truth):信頼できる唯一の情報源のこと。ハンドブックをSSoTとして機能させることで、情報の一元化と透明性の確保を目指す。
  • DRI(Directly Responsible Individuals):GitLabが取り入れている概念で、特定のタスクや意思決定に対して最終的な責任を持つ個人のこと。リモート責任者をDRIとして任命することで、リモート組織の構築を効率的に進められる。
  • インフォーマルコミュニケーション:業務とは直接関係のない非公式なコミュニケーションのこと。リモート環境では自然発生しにくいため、意図的に設計することが重要。

考察

リモート組織を構築するためのプロセスを概観すると、組織の根本的な認識改革から始まり、責任者の任命、ハンドブックの制定、コミュニケーションガイドラインの明示、ツールの最適化、経営陣のリモート化、作業環境の整備、インフォーマルコミュニケーションの設計に至るまで、包括的かつ体系的なアプローチが求められていることがわかる。

特に印象的なのは、リモートワークを主流とする認識改革の重要性である。オフィスワークを主軸としてリモートワークを補完的に捉えている限り、リモート組織の真の実現は難しい。リモートワークに適した非同期業務のパフォーマンスを最大化するという前提に立ち、組織全体の再構築を図る必要がある。

また、ハンドブックをSSoTとして機能させる取り組みも注目に値する。あらゆる情報をハンドブックに集約し、組織の憲法のような役割を持たせることで、情報の透明性と一貫性を確保できる。加えて、全従業員がハンドブックの改善に関与できる体制を整えることで、組織の自律性と柔軟性も高められるだろう。

一方で、インフォーマルコミュニケーションの設計には課題もある。自然発生的な交流が生まれにくいリモート環境では、意図的なコミュニケーション設計が不可欠だが、過度な介入は却って従業員の負担になりかねない。適切なバランスを見極めながら、継続的な改善を図っていく必要がある。

総じて、本章で示されたアクションプランは、リモート組織構築のための羅針盤として高く評価できる。ただし、実際の運用に当たっては、各組織の特性や文化に合わせたカスタマイズが欠かせない。「より良いリモートへの12ステップ」を活用しつつ、trial and errorを重ねながら、自組織に最適なプロセスを模索していくことが肝要だろう。

第4章 リモートワークで発生する問題と対策

リモートワークへの移行に伴い、働きすぎや孤独感、仕事と生活の境目の曖昧さなど、さまざまな問題が発生する。特にハイブリッドリモートワークでは、情報へのアクセス格差、キャリア機会の差、劣等感や罪悪感、パフォーマンスプレッシャーなどの問題が生じやすい。これらの問題に対処するためには、孤独感の負のスパイラルを断ち切るための施策や、働きすぎやバーンアウトを予防するためのガイドラインを用意することが重要である。ハイブリッドリモートワークでは、意思決定の場をリモートに移し、議事録の徹底、オフィスの縮小などの対策が効果的である。オフィス回帰への欲求に対しては、リモート組織運用の効率性を示しつつ、一定の移行期間を設けることが求められる。リモート組織の安定的な運用が実現した後であれば、オプションとしてのオフィス出社や対面交流の機会を設けることも選択肢となり得る。

印象的なフレーズ

  • 「孤独感の問題はストレスからさらに自分を追い詰めてしまったり、余裕がないことで周囲に対して攻撃的な振る舞いや過剰な反応をしてしまうことで周りからの反応も冷ややかになっていき、さらなる孤独感を深めてしまうという負のスパイラルを生じさせてしまうことがあります。」
  • 「ハイブリッドリモートワークで最も重要なことは「リモートワークファースト」です。」
  • 「効率的なリモート組織の運用が定着した上でオフィス出社というオプションの選択肢を持つことと、オフィスを主軸として働く選択肢を残し続けることには大きな違いがあります。」

重要なポイント

  • リモートワークでは働きすぎや孤独感などの問題が発生しやすい。
  • ハイブリッドリモートワークでは情報格差やキャリア機会の差などの問題が生じやすい。
  • 孤独感の負のスパイラルを断ち切るための施策が重要。
  • ハイブリッドリモートワークでは「リモートワークファースト」の原則が不可欠。
  • オフィス回帰への欲求には、リモート組織運用の効率性を示しつつ対処する。

理解度確認の質問

1. リモートワークで発生しやすい問題にはどのようなものがありますか?
2. ハイブリッドリモートワークで生じやすい問題とその対策について説明してください。
3. オフィス回帰への欲求に対して、どのように対処すべきですか?

重要な概念

  • 衰弱(languishing):パフォーマンスが出しづらくなり、バーンアウトのリスクが高まる状態のこと。孤独感や社会的孤立によって引き起こされる。
  • ビロンギング(belonging):自分がコミュニティの一員として認められており、チームと共にいると感じられる感覚のこと。リモート環境では意図的に育む必要がある。
  • リモートワークファースト:リモートワークを主軸に据え、オフィスワークを補完的な位置づけとする考え方。ハイブリッドリモートワークの成功には不可欠。

考察

リモートワークへの移行に伴い発生する問題とその対策について論じた本章は、リモート組織運営の実践的な指南書としての価値が高い。働きすぎや孤独感、仕事と生活の境目の曖昧さといった普遍的な問題から、ハイブリッドリモートワーク特有の情報格差やキャリア機会の差まで、多岐にわたる課題が網羅的に取り上げられている。

中でも、孤独感の負のスパイラルに関する指摘は示唆に富む。リモートワークでは、孤独感がストレスや攻撃性を呼び起こし、周囲との関係性を悪化させることで、さらなる孤独感を深めるという悪循環に陥りやすい。この負のスパイラルを断ち切るためには、組織主導の積極的な介入が不可欠であり、ビロンギングを育むための施策が重要な鍵を握る。

また、ハイブリッドリモートワークにおける「リモートワークファースト」の原則も、強く印象に残った。オフィスワークとリモートワークが混在する環境では、意思決定の場をリモートに移し、徹底した情報の透明性を確保することが肝要である。オフィスを主軸に据えたままでは、情報格差やキャリア機会の不平等が解消されず、リモート組織の真の実現は覚束ない。

一方で、オフィス回帰への欲求への対処については、やや物足りなさも感じられた。リモート組織の効率性を示しつつ移行期間を設けることは重要だが、単に時間を置けば解決するわけではあるまい。オフィスでの対面交流の価値を全否定するのではなく、リモートワークとの適切なバランスを模索していく柔軟な姿勢も必要ではないか。

総じて、本章はリモート組織運営の実務に直結する有益な知見に満ちている。ただし、提示された対策をそのまま適用するだけでは、個々の組織の特性に応じたきめ細やかな対応は難しい。各組織が直面する固有の課題を丁寧に見極め、試行錯誤を重ねながら、自前のソリューションを練り上げていくことが求められよう。本章の知見は、そうした地道な取り組みを下支えする羅針盤として、大きな価値を発揮するに違いない。

第5章 カルチャーはバリューによって醸成される

カルチャーを醸成するためには、バリューを明示し、それを体現する行動を日常的に実践することが重要である。GitLabではカルチャーマッチよりバリューマッチを重視しており、6つのCore Valueを掲げている。Valueが衝突する場合はヒエラルキーを参考にするが、絶対的なものではなく状況を考慮して決定する。Valueを実現するための具体的な行動指針が示されており、リモート組織運営のノウハウが詰まっている。強力なカルチャーを醸成するには、Valueを明瞭に言語化し、行動レベルで実践・徹底させ、根底にある暗黙の前提に働きかける必要がある。

印象的なフレーズ

  • カルチャーとは共有された暗黙の仮定のパターンである
  • 退屈でシンプルな解決策
  • カルチャーマッチではなくバリューマッチが重要
  • つま先を短くして、誰もが貢献できるようにする

重要なポイント

  • カルチャーは明示的なバリューと日常の行動によって醸成される
  • GitLabは6つのCore Valueを掲げ、具体的な行動指針を示している
  • バリューマッチにより多様な人材が活躍できる環境を目指している
  • Valueの衝突はヒエラルキーを参考に状況に応じて判断する
  • つま先(権限や領分)を短くし、全員が貢献できるようにする

理解度確認の質問

1. カルチャーを醸成するために重要な2つの要素は何か?
2. GitLabが重視するのはカルチャーマッチかバリューマッチか?
3. Valueが衝突した場合、どのように判断すべきか?

重要な概念

  • カルチャーマッチ:企業の社風に合う人材を採用・評価すること
  • バリューマッチ:企業の掲げる価値観を体現できる人材を採用・評価すること
  • Core Value:組織の根幹をなす中心的な価値観
  • ヒエラルキーValueの優先順位を示した階層構造

考察

GitLabのように急成長するリモート組織において、カルチャーの醸成は重要な課題である。バリューを明確に定義し、具体的な行動指針を示すことで、多様なバックグラウンドを持つメンバーが一丸となって目標に向かうことができる。一方で、Valueを形骸化させず、日常的な行動レベルで実践させ続けることは容易ではない。

GitLabの取り組みで特に印象的なのは、Valueヒエラルキーを示しつつも、それを絶対視せず状況に応じて柔軟に判断している点だ。リモートワークでは、メンバー間の意思疎通が難しくなりがちなため、Valueの解釈をめぐる対立が起こりやすい。その際、ヒエラルキーのみに頼るのではなく、議論を通じて最適解を見出す姿勢は、組織の成熟度の高さを感じさせる。

また、「つま先を短くする」という考え方も興味深い。リモート組織では、役割や権限が曖昧になりやすく、マイクロマネジメントに陥る危険性がある。その弊害を避けるために、一人ひとりの裁量を大きくし、自律的な行動を促すことは合理的だ。ただし、自由闊達さを重んじるあまり、秩序が失われてしまっては本末転倒である。Valueを道しるべとしながら、メンバーの主体性を引き出すことが、リモート組織のカルチャー醸成における重要な鍵になるだろう。

GitLabの事例は、カルチャーという目に見えにくい存在に真正面から向き合い、地道な努力を重ねることの大切さを示している。Value重視の経営は一朝一夕にはできないが、それだけに競合他社に真似されにくい強力な武器になり得る。リモートワークが当たり前になりつつある今、GitLabから学ぶべき点は多い。
私見ではあるが、日本企業がDXを推進し、グローバルな競争力を高めていくためには、バリュードリブンな組織への変革が不可欠だ。その過程で、GitLabのような先駆的企業の知見は、道標となってくれるはずである。

第6章 コミュニケーションのルール

リモートワークでは、非同期コミュニケーションを効果的に行うためのルールが必要である。GitLabでは、アンコンシャス・バイアスを理解し、ローコンテクストなコミュニケーションを心がけている。機密情報の取り扱いについてはSAFEフレームワークを活用し、オンラインミーティングのガイドラインも整備されている。情報の透明性を保ちつつ、必要な情報をタイムリーに共有するために、ドキュメンテーションを徹底。「信頼できる唯一の情報源(SSoT)」としてのハンドブックを活用し、不文律をつくらないよう注意する。

印象的なフレーズ

  • かすれたインクは鮮明な記憶に勝る
  • デフォルトは公開設定
  • ドッグフーディング
  • 創業者のように振る舞う

重要なポイント

  • アンコンシャス・バイアスを理解し、思い込みに気をつける
  • ローコンテクストなコミュニケーションを心がけ、文脈を丁寧に説明する
  • 機密情報の取り扱いについてはSAFEフレームワークを活用する
  • オンラインミーティングではガイドラインに沿って効果的に進める
  • 情報の透明性を保ちつつ、必要な情報を適切に共有する
  • ドキュメンテーションを徹底し、ハンドブックをSSOTとして活用する

理解度確認の質問

1. アンコンシャス・バイアスとは何か?
2. ローコンテクストコミュニケーションとはどういうことか?
3. ドキュメンテーションを徹底する目的は何か?

重要な概念

  • アンコンシャス・バイアス:無意識の思い込みや偏見のこと
  • ローコンテクストコミュニケーション:文脈や背景の説明を重視したコミュニケーション
  • SAFEフレームワーク:機密情報の取り扱い基準を示したフレームワーク
  • ドッグフーディング:自社の製品やサービスを社内でも使用すること
  • SSoT(Single Source of Truth):信頼できる唯一の情報源

考察

リモートワークの普及に伴い、コミュニケーションのあり方も大きく変化している。GitLabの事例から、非同期コミュニケーションを円滑に行うためのヒントが得られる。

特に、アンコンシャス・バイアスへの注意喚起は重要だ。リモートでは、相手の表情や仕草から感情を読み取ることが難しく、思い込みに陥りやすい。常に自分の認知の歪みに気づき、相手の立場に立って考える姿勢が求められる。

ローコンテクストなコミュニケーションの徹底も、リモートワークでは欠かせない。多様なバックグラウンドを持つメンバーが、シームレスにコラボレーションするためには、文脈や前提を丁寧に説明し、解釈の齟齬を防ぐ必要がある。これは一見、効率的ではないように見えるが、長期的には大きな時間削減につながるはずだ。

また、ドキュメンテーションの重要性は、GitLabに限らずリモート組織に共通するテーマである。特に、ハンドブックをSSOTとして位置づけ、情報の透明性を担保する取り組みは学ぶべき点が多い。単なるルールブックではなく、組織の知識を結集した共有財産として、ハンドブックを活用する発想は新鮮だ。

一方で、機密情報の扱いなど、情報公開のリスクにも十分な配慮が必要である。かといって、ガバナンスを強化するあまり、現場の自律性が損なわれてはならない。自由と規律のバランスをどう取るかは、リモート組織の永遠の課題だろう。

GitLabのコミュニケーション戦略は、トライアル・アンド・エラーを重ねた先の到達点と言える。ルール化に過度にとらわれず、臨機応変に最適解を追求する姿勢が、時代の変化に適応する原動力になっているのだ。リモートワークのベストプラクティスは日進月歩で進化している。常に謙虚な学び手としてあり続けることが、これからのリーダーに求められる資質なのかもしれない。

第7章 リモート組織におけるオンボーディングの重要性

リモート組織では、新メンバーのオンボーディングが重要である。GitLabでは、入社前のウェルカムコールから始まり、4週間にわたる詳細なオンボーディングプログラムを用意している。新人にはオンボーディングバディがつき、組織への適応をサポートする。即戦力の中途採用者にも丁寧なオンボーディングが必要で、最大9カ月の時間をかけてパフォーマンスを引き出していく。その過程で、上司によるこまめなフィードバックが鍵を握る。

印象的なフレーズ

  • Ta-New-Kiウェルカムコール
  • オンボーディングバディ
  • 創業者のメンタリティ

重要なポイント

  • リモート組織では丁寧なオンボーディングが不可欠
  • 入社前から始まる4週間のオンボーディングプログラムを用意
  • オンボーディングバディが新人の相談役となる
  • 即戦力にも組織適応のための時間と支援が必要
  • 新人の早期戦力化には上司のこまめなフィードバックが重要

理解度確認の質問

1. GitLabの新人オンボーディングはいつから始まるか?
2. オンボーディングバディの役割は何か?
3. 中途採用者の戦力化にはどのくらいの時間がかかるか?

重要な概念

  • オンボーディング:新メンバーの受け入れと定着・戦力化のためのプログラム
  • Ta-New-Kiウェルカムコール:タヌキとNewcomerをかけた、GitLabの入社前コール
  • オンボーディングバディ:新人の相談役となるメンバー
  • 即戦力:経験を活かしてすぐに活躍できる中途採用
  • 最適化レベル:周囲の支援があって発揮できる高いパフォーマンス

考察

リモートワークの浸透に伴い、オンボーディングのあり方が問い直されている。GitLabの事例は、リモート組織における新メンバーの受け入れと育成の重要性を示唆するものだ。

興味深いのは、オンボーディングを入社前から始めている点である。Ta-New-Kiウェルカムコールを通じて、新人の不安を払拭し、組織になじむためのサポートを手厚く行う。その狙いは、単なる事務手続きの効率化ではない。新人を歓迎し、組織の一員として迎え入れる意思を明確に示すことで、エンゲージメントを高めているのだ。

また、オンボーディングバディの存在も見逃せない。相談役を置くことで、新人の孤立を防ぎ、組織とのつながりを強化する。特にリモートワークでは、周囲との関係構築が難しく、不安を抱えやすい。バディの存在は、新人の心理的安全性を高め、定着率の向上につながるだろう。

さらに、中途採用者へのオンボーディングの充実ぶりも特筆に値する。即戦力だからこそ、組織文化への適応に時間をかける。早期戦力化を急ぐあまり、オンボーディングを疎かにすれば、かえって生産性を下げる恐れがある。経験者の能力を最大限に引き出すには、周囲の支援と理解が欠かせないことをGitLabは教えてくれる。
日本企業の多くは、新人教育に力を入れる一方、中途採用者へのケアが手薄な傾向にある。年功序列の名残が色濃く、即戦力としての活躍を過剰に期待するあまり、オンボーディングの重要性が見過ごされがちだ。だが、リモートワークの時代においては、新人・中途を問わず、丁寧なオンボーディングなくして、高いパフォーマンスは望めない。

加えて、GitLabが重視するのは、上司から新人へのこまめなフィードバックだ。新人の成長は一様ではない。個々人の特性に合わせ、きめ細かく指導することで、戦力化のスピードは格段に上がる。リモートワークでは、上司と部下の距離感が掴みづらく、コミュニケーション不足に陥りやすい。だからこそ、意識的にフィードバックの機会を設け、新人の成長を後押しする必要がある。

GitLabのオンボーディング戦略は、リモート組織ならではの工夫に満ちている。単なるオペレーションの話ではなく、新メンバーと組織の信頼関係を築くための施策として捉えている点が肝要だ。オンボーディングの成否が、組織の生産性を大きく左右することを示唆する好事例と言えるだろう。

日本企業がリモートワークを定着させていくには、オンボーディングの再定義が急務である。新人教育の先進国と言われながら、いざ非対面の環境では、十分な成果を上げられていない企業が少なくない。ニューノーマル時代のオンボーディングに求められるのは、スピード感とコミュニケーションの質の両立だ。GitLabから学び、新メンバーの受け入れ体制を再構築することが、リモート組織の成功の鍵を握っている。

第8章 心理的安全性の醸成

リモート組織では、心理的安全性の醸成が重要な課題である。心理的安全性とは、チームメンバーが自分の発言によって否定されることなく、安心して行動できる環境のことを指す。パフォーマンスの高いチームには、心理的安全性が備わっていることが分かっている。GitLabでは、7つの方法で心理的安全性を高めている。例えば、「黄金律」に代えて「他人がしてほしい行為をする」ことや、好奇心を歓迎し、従業員の声に耳を傾ける。また、「同意しない、コミットする、同意しない」というスタンスを大切にし、建設的な議論を通じて意思決定を行う。相手を思い込みで判断せず、前向きな意図を想定することも欠かせない。一方で、心理的安全性を脅かす行為には厳正な対処が求められる。ルールの明文化とフェアな運用によって、フリーライダー問題に立ち向かう必要がある。

印象的なフレーズ

  • 心理的安全性は生ぬるさを指しているわけではない
  • 同意しない、コミットする、同意しない
  • アンコンシャス・バイアスを制御する
  • SBIモデル
  • 利他的な罰

重要なポイント

  • パフォーマンスの高いチームには心理的安全性が備わっている
  • GitLabは7つの方法で心理的安全性を高めている
  • 「同意しない、コミットする、同意しない」のスタンスが大切
  • 前向きな意図を想定し、思い込みで判断しない
  • 心理的安全性を脅かす行為にはルールに基づいた対処が必要
  • フィードバックの際はSBIモデルを活用する
  • フリーライダー問題には「利他的な罰」で対処する

理解度確認の質問

1. 心理的安全性とは何を指すか?
2. 「同意しない、コミットする、同意しない」とはどういう意味か?
3. フリーライダー問題にどう対処すべきか?

重要な概念

  • 心理的安全性:チームメンバーが安心して発言・行動できる環境
  • SBIモデル:フィードバックの際に用いる「Situation(状況)- Behavior(行動)- Impact(影響)」の伝え方
  • 利他的な罰:ルールを破る者に対し、自らコストを払ってでも罰を与える行為
  • アンコンシャス・バイアス:無意識の思い込みや偏見のこと
  • 黄金律:自分がしてほしい行為を、他人にもすること

考察

リモート組織におけるチームビルディングの要は、心理的安全性の醸成にあると言っても過言ではない。GitLabの実践は、リモートワーク時代のマネジメントに示唆に富んでいる。

特に印象深いのは、「同意しない、コミットする、同意しない」のスタンスだ。意見の相違を恐れず、建設的な議論を重ねることで、チームの意思決定の質は高まる。多様な観点を取り入れ、最適解を追求する。結論が出れば、たとえ反対意見があったとしても、決定事項にコミットする。このプロセスを繰り返すことで、心理的安全性は強化されていく。日本の組織に根強い「空気を読む」文化からの脱却が、ここでも鍵を握っている。

また、前向きな意図を想定し、アンコンシャス・バイアスをコントロールする姿勢も重要だ。リモートワークでは、メンバー間の信頼関係の構築が難しい。相手の表情が見えず、細やかなコミュニケーションが取りづらい。だからこそ、相手を批判するのではなく、善意を前提とした接し方が求められる。思い込みで判断するのではなく、事実に基づいて冷静に議論する。SBIモデルを活用したフィードバックは、相手の成長を後押しする有効な手立てだ。

一方で、心理的安全性の名の下に、ルール違反を黙認してはならない。フリーライダーを野放しにすれば、チームのモチベーションは下がり、生産性は低下する。ルールを明文化し、フェアに運用することが肝要だ。時にはコストを払ってでも、「利他的な罰」を与える勇気が問われる。

GitLabの事例は、心理的安全性が高いパフォーマンスを生むことを雄弁に物語っている。チームの信頼関係なくして、イノベーションは生まれない。リモート組織のマネジメントにおいて、心理的安全性の重要性はますます高まっている。Psychological Safetyという言葉を単なるバズワードで終わらせず、行動レベルで実践していく。GitLabの挑戦は、まさにこれからのリーダーシップの在り方を示唆している。私たち一人ひとりが、職場に心理的安全性を根付かせるためにできることを考え、小さな一歩を踏み出すことが何より大切なのだ。

第9章 個人のパフォーマンスを引き出す

GitLabでは個人のパフォーマンスを成果と行動の2つの軸で考えており、これに成長力を加えて評価やマネジメントを行っている。成果は役割に対する定量的なアウトカムを意味し、行動はGitLab ValueやGradeに応じたコンピテンシーを基準としている。GitLabでは全社及びチームのOKRを設定し、ノーススターKPIと呼ばれる重要指標を管理している。個人の目標はマネージャーと合意し、GitLab Valueに基づいた行動とアウトカムの達成を目指す。意思決定においては情報収集とDRIによる意思決定を分離し、スピードと適切なデータに基づく判断を両立させている。組織にとって特に重要な人材はKey Talentとして認定・管理され、エンゲージメントを高める施策が行われている。

印象的なフレーズ

  • 「GitLabが最も重要なValueはResultsである」
  • 「意思決定をする際にはヒエラルキー型のプロセスを実行する」
  • 「組織における重要なフォーカスポイントに対して、自分がどの部分で貢献できるのかをマネージャーと話し合う」
  • 「GitLabにおいて個人のパフォーマンスは「成果」と「行動」によって構成されており、これに「成長力」という未来に向けた行動を加えて評価制度やマネジメントが設計されている」

重要なポイント

  • 個人のパフォーマンスは成果と行動の2軸で評価される
  • 全社及びチームのOKRとノーススターKPIが設定され、個人の目標はこれらと紐づけられる
  • 意思決定プロセスはデータ収集とDRIによる意思決定に分離される
  • Key Talentと認定された重要人材に対してエンゲージメント施策が行われる

理解度確認の質問

1. GitLabにおける個人のパフォーマンスはどのような観点で評価されるか?
2. GitLabの意思決定プロセスにおけるデータ収集と意思決定の関係性を説明せよ。
3. Key Talentとはどのような人材を指し、どのような施策が行われるか?

重要な概念

  • OKR: Objective(目的)とKey Results(主要な成果)によって構成される目標管理フレームワーク
  • ノーススターKPI: 組織にとって最も重要な指標であり、プロダクトの成長に不可欠なもの
  • DRI(Directly Responsible Individual): 特定の意思決定や成果物に対して直接の責任を負う個人
  • Key Talent: 組織にとって特に重要であり、退職した場合に大きな影響が生じるような人材

考察

GitLabの個人パフォーマンスマネジメントは、シンプルでありながら組織の目標と連動した成果と、組織の価値観に基づく行動の両面を重視している点が特徴的である。個人の目標設定においてもOKRやKPIといった組織目標との紐付けが行われることで、個人が組織の方向性を意識しながら日々の業務に取り組むことができる。
また、意思決定プロセスを情報収集と意思決定に分離し、DRIを任命することで、スピードと質の高い意思決定を両立させる工夫がなされている。これにより、リモートワーク環境においても迅速かつ的確な判断が可能となっている。
更に、Key Talentの認定と育成施策は、組織にとって重要な人材の流出を防ぎ、エンゲージメントを高めるための仕組みであり、人材マネジメントの観点からも効果的なアプローチだと言える。
一方で、これらの取り組みを成功させるためには、マネージャーの高度なマネジメントスキルや、組織文化の浸透、適切な評価の実施など、様々な条件が求められる。GitLabのように徹底的にハンドブックに文書化し、全社で実践していくことが肝要であろう。
総じて、GitLabの個人パフォーマンスマネジメントは、リモートワーク時代における先進的な取り組みであり、他の組織でも参考になる点が多いと考える。一方で、自社の文化や特性を踏まえた上で、適切にアレンジしていくことも重要である。GitLabのやり方をベースとしながら、各組織が自らの状況に合った個人パフォーマンス向上施策を構築していくことが望ましい。

第10章 GitLab Valueに基づいた人事制度

GitLabの人事制度は、Job Gradeによる職務等級制度を軸に設計されており、職種ごとに期待されるコンピテンシーとGitLab Valueに基づく行動基準が定められている。評価制度では、パフォーマンスと成長力の2軸で9段階の評価を行い、個人の強みと改善点を明確にする。報酬は各職務の市場価値と個人のパフォーマンスに基づいて決定され、上位の等級や重要ポジションについては後継者計画が策定される。各制度は透明性と公平性を重視して設計・運用されており、グローバル基準の人事マネジメントを実現している。一方で、全てのメンバーが昇格を目指す必要はなく、役割に応じたパフォーマンス発揮を重視する方針を取っている。

印象的なフレーズ

  • 「パフォーマンスを現金報酬額に反映させ、成長力は株式付与の判断基準として用いている」
  • 「報酬計算システムで算定された金額に、地域ごとの報酬水準に準ずる係数を掛け合わせて報酬額を決定する」
  • 「サクセッションプランはリスクを軽減するだけでなく、将来を担う優秀な人材の維持と能力開発による事業成長の推進という役割も果たす」
  • 「すべての人が昇格を目指す必要はない」

重要なポイント

  • Job Gradeに基づく職務等級制度が人事制度の軸となっている
  • 9段階の評価制度でパフォーマンスと成長力を多面的に評価する
  • 報酬は職務の市場価値と個人のパフォーマンスに基づいて決定される
  • サクセッションプラン(後継者計画)が重要ポジションに対して策定される

理解度確認の質問

1. GitLabの職務等級制度における職種ごとの基準について説明せよ。
2. 9段階の評価制度におけるパフォーマンスと成長力の位置づけを述べよ。
3. サクセッションプランが組織に与えるメリットについて論ぜよ。

重要な概念

  • Job Grade: 職務等級制度。職種ごとに求められるコンピテンシーとGitLab Valueに基づく行動基準が定められる。
  • 9-BOX: パフォーマンスと成長力の2軸で9段階の評価を行うフレームワーク
  • サクセッションプラン: 重要ポジションの後継者を特定し、育成する計画。
  • コンピテンシー: 成果を生み出すために必要な行動特性や能力。

考察

GitLabの人事制度は、職務等級制度を基盤としながら、パフォーマンスと成長力の両面から個人を評価し、報酬に反映させる仕組みを持っている。これにより、メンバーはよりモチベーション高く、自身の強みを活かしながら組織の成果創出に貢献することができる。
特に、9段階の評価制度は、単にパフォーマンスだけでなく、将来のポテンシャルを示す成長力にも着目している点が特徴的である。これは、長期的な視点で個人の育成と組織の発展を考えるGitLabの姿勢の表れであり、他の組織でも参考になるアプローチだと言える。
また、サクセッションプランの存在は、組織の持続的な成長を支える重要な仕組みであると考える。単に重要ポジションのリスク管理というだけでなく、次世代リーダーの育成と、優秀な人材の定着につながる取り組みとして、戦略的な人材マネジメントに寄与している。
一方で、GitLabは全てのメンバーに昇格を求めるのではなく、役割に応じたパフォーマンス発揮を重視する方針を打ち出している。これは、メンバーのキャリア志向の多様性を認め、それぞれの強みを活かす場を提供するための配慮であり、ダイバーシティ&インクルージョンの観点からも意義があると考えられる。
総じて、GitLabの人事制度は、透明性と公平性を重視しながら、個人と組織の成長を両輪で支える先進的な取り組みと言える。一方で、各組織においては、自社の事業特性やカルチャーを踏まえて、GitLabの人事制度をアレンジしていくことも重要である。単に制度を真似るのではなく、その本質を理解した上で、自組織に最適な形で活用していくことが求められる。

第11章 マネージャーの役割とマネジメントを支援するためのしくみ

GitLabでは、マネージャーがチームのパフォーマンスを最大化させるための重要な役割を担っている。マネージャーは部下との良好な関係性を構築し、適切なフィードバックを提供することで、メンバーのモチベーションとエンゲージメントを高める。目標設定においては、SMARTの原則に基づいて明確かつ達成可能な目標を設定し、定期的な1on1ミーティングを通じて進捗を確認する。パフォーマンス不足の部下に対しては、原因を特定した上で適切な支援を行い、改善が見られない場合はパフォーマンス改善計画(PIP)を実施する。マネージャーに求められる5つのコンピテンシーとして、感情的知性、フィードバック文化の体現、コーチング、衝突の解決、高業績チームの構築が挙げられている。

印象的なフレーズ

  • 「親愛さはパフォーマンスを向上させる」
  • 「マネージャーにはメンバーをつなぎ留める責任がある」
  • 「パフォーマンスの不足に関しては、マネージャーがメンバーと合意した基準に基づいて、どの部分がどの程度不足しているのか可能な限り定量的な状況と実例をもとに説明を行う」
  • 「GitLabでは、マネージャーがメンバーのパフォーマンスを十分に発揮させるためには、価値観や性格の異なるメンバーやパフォーマンスが出ていないメンバーに対しても積極的に関係性を構築する必要があると考えている」

重要なポイント

  • マネージャーとメンバーの良好な関係性がパフォーマンス向上の鍵となる
  • SMARTの原則に基づく目標設定と定期的な1on1ミーティングが重要
  • パフォーマンス不足への適切な対処とPIPの実施
  • マネージャーに求められる5つのコンピテンシーの獲得

理解度確認の質問

1. マネージャーとメンバーの関係性がパフォーマンスに与える影響について説明せよ。
2. SMARTの原則に基づく目標設定について、その内容と意義を述べよ。
3. パフォーマンス改善計画(PIP)の目的と実施プロセスを説明せよ。

重要な概念

  • 1on1ミーティング: マネージャーとメンバーの定期的な面談。目標の進捗確認やフィードバックの提供を行う。
  • SMART原則: 具体的(Specific)、測定可能(Measurable)、達成可能(Achievable)、関連性がある(Relevant)、期限がある(Time-bound)の頭文字を取った、目標設定の原則。
  • パフォーマンス改善計画(PIP): パフォーマンスが不足しているメンバーに対して、改善目標と行動計画を設定し、集中的に支援を行う制度。
  • マネージャーの5つのコンピテンシー: 感情的知性、フィードバック文化の体現、コーチング、衝突の解決、高業績チームの構築。

考察

GitLabにおけるマネジメントの特徴は、マネージャーとメンバーの関係性を重視し、適切なフィードバックとコーチングを通じて個人のパフォーマンスを最大化させる点にある。単なる業務管理だけでなく、メンバーのモチベーションやエンゲージメントに焦点を当てた、人間中心のマネジメントスタイルと言える。
特に、マネージャーがメンバーとの良好な関係性構築に努め、個々のメンバーの特性に合わせたアプローチを取ることは、多様性を受け入れ、一人ひとりの力を引き出すためのカギとなる。リモートワーク環境では、対面でのコミュニケーションが限られる中、マネージャーによる意図的な関係性構築がより重要性を増している。
また、SMARTの原則に基づく明確な目標設定と、定期的な1on1ミーティングによる進捗管理は、メンバーのパフォーマンスを適切な方向に導くための効果的な手法である。これにより、メンバーは自身の役割と責任を明確に理解し、目標達成に向けて主体的に行動することができる。
一方で、パフォーマンスが不足しているメンバーに対しては、適切な支援と改善機会の提供が求められる。GitLabのパフォーマンス改善計画(PIP)は、単なる問題社員の排除ではなく、メンバーの成長を支援するための制度として位置づけられている点が特徴的である。
更に、GitLabが定義するマネージャーの5つのコンピテンシーは、現代のマネジメントに求められる資質を的確に捉えていると言える。感情的知性やコーチングスキルは、メンバーとの信頼関係を築き、個々の成長を支援するために不可欠な能力である。また、フィードバック文化の醸成や衝突の解決、高業績チームの構築は、チームのパフォーマンスを左右する重要な要素と考えられる。
総じて、GitLabのマネジメントスタイルは、人間中心の視点を持ちながら、個人とチームのパフォーマンスを最大化するための先進的な取り組みと評価できる。一方で、マネージャーがこれらのスキルを身につけ、実践していくためには、組織による継続的な支援と育成が必要不可欠である。GitLabにおけるマネジメントの在り方は、他の組織においても参考になる点が多いが、自社の文化や状況に合わせてアレンジしていくことが重要だろう。

第12章 コンディショニングを実現する

GitLabでは、メンバーの心身のコンディションを整えるためのコンディショニングを重視している。特に、リモートワーク環境下では、環境の変化による影響を受けやすいため、個人の環境感受性の違いを理解し、適切なサポートを提供することが重要である。また、休暇の取得を推奨し、完全にオフの状態を作ることで、メンバーのリフレッシュと創造性の発揮を促している。運動の重要性も認識されており、脳の健康維持や集中力向上のために、定期的な有酸素運動を推奨している。GitLabは、メンバーのコンディショニングを組織課題として捉え、各種施策を通じて生産性の向上を目指している。

印象的なフレーズ

  • 「休暇を取らないことは組織の弱点」
  • 「完全な休暇を過ごす」
  • 「環境感受性の違いを理解する」
  • 「運動によって脳を整える」

重要なポイント

  • リモートワーク下では、環境変化による影響を受けやすい
  • 個人の環境感受性の違いを理解し、適切なサポートを提供する
  • 休暇取得と完全なオフの状態を推奨
  • 定期的な有酸素運動による脳の健康維持と集中力向上

理解度確認の質問

1. 環境感受性の違いが個人に与える影響について説明せよ。
2. GitLabが休暇取得を推奨する理由を2つ挙げよ。
3. 運動が脳に与える効果について述べよ。

重要な概念

  • 環境感受性: 外部からの刺激に対する敏感さの個人差。ポジティブ・ネガティブ両面の影響を受ける。
  • HSP(Highly Sensitive Person): 環境感受性が高い人。繊細さゆえに、周囲からのサポートが重要。
  • インキュベーション: 課題から一時的に離れることで、創造性が高まるプロセス。休暇取得との関連性が指摘されている。

考察

GitLabのコンディショニングへの取り組みは、メンバーの心身の健康を重視し、パフォーマンス向上につなげようとする組織の姿勢を反映している。リモートワークという新しい働き方においては、オフィス勤務とは異なるストレス要因が存在し、個人の特性によってその影響度合いが異なることを認識した上での施策展開が求められる。
特に、環境感受性の概念に着目し、個人差を踏まえたサポート体制を整えている点は、ダイバーシティ&インクルージョンの観点からも意義深い。HSPのようなマイノリティにも目を配り、それぞれに合った働き方を提供することは、個人のウェルビーイングの向上のみならず、組織全体のパフォーマンス向上にもつながる取り組みと言える。
また、休暇取得の推奨は、単なるリフレッシュ効果だけでなく、創造性の源泉としても位置づけられている。アイデアの発想プロセスにおけるインキュベーションの重要性を踏まえ、意図的に業務から離れる時間を設けることは、イノベーションを促す上でも有効な施策と考えられる。
更に、運動習慣の奨励は、身体面でのコンディショニングのみならず、脳の機能維持・向上という側面からもアプローチしている点が特徴的である。定期的な有酸素運動が認知機能や集中力に与える好影響は、科学的にも裏付けられつつあり、GitLabの取り組みは先進的と言える。
総じて、GitLabのコンディショニングへの取り組みは、メンバーの心身の健康を多角的に支援し、パフォーマンス向上につなげる先見性のある施策と評価できる。一方で、コンディショニングは個人差が大きい分野でもあり、それぞれのニーズに合わせた選択肢を用意することが望ましい。更なる多様性への対応と、効果検証を通じた施策のブラッシュアップにも期待したい。

第13章 L&Dを活用してパフォーマンスとエンゲージメントを向上させる

GitLabは、メンバーの能力開発とキャリア開発を促進するためのL&D(Learning & Development)プログラムに力を入れている。効果的な学習のためには、「具体的経験」「内省的省察」「抽象的概念化」「積極的実践」のサイクルを回すことが重要であり、特に「抽象的概念化」の段階で、先人の知恵を学ぶことで効率的なスキル習得が可能になる。GitLabでは、個人の目標と組織の目標を連動させた個人開発計画(IGP)の作成を推奨し、マネージャーとの定期的な面談を通じて能力開発を支援している。また、360度フィードバックを活用し、多面的な視点から個人の強みと改善点を明らかにすることで、成長機会の特定につなげている。さらに、手厚い学習支援制度を通じて、個人の自律的な能力開発を促進している。

印象的なフレーズ

  • 「研修は受講することが目的ではなく、研修によって得られた概念を積極的実践として活用し、スキルとして定着させていくことが目的」
  • 「キャリア開発の機会を提供することはメンバー、マネージャー、組織にとって三方良しといえる素晴らしい取り組み」
  • 「暫定および臨時の役割」
  • 「GitLabでは従業員が成長し、より高いパフォーマンスを発揮できるように、独学やセルフサービスを支えるサポートを用意している」

重要なポイント

  • 効果的な学習サイクルと「抽象的概念化」の重要性
  • 個人開発計画(IGP)とマネージャーとの定期面談
  • 360度フィードバックを活用した多面的な強み・改善点の特定
  • 自律的な能力開発を促進する学習支援制度の充実

理解度確認の質問

1. 経験学習モデルにおける4つのステップを説明せよ。
2. 個人開発計画(IGP)の目的と内容について述べよ。
3. GitLabが提供する学習支援制度の具体例を3つ挙げよ。

重要な概念

  • 経験学習モデル: デビッド・コルブが提唱した学習理論。「具体的経験」「内省的省察」「抽象的概念化」「積極的実践」の4段階を循環することで、効果的な学習が促進されるとしている。
  • 個人開発計画(IGP): 個人のキャリアビジョンと目標を明確化し、その達成に向けた行動計画を定めるもの。組織目標との連動性も重視される。
  • 360度フィードバック: 上司、同僚、部下など、多方向からの評価を通じて、個人の強みと改善点を明らかにする手法。自己評価との比較により、気づきを得ることができる。

考察

GitLabのL&Dへの取り組みは、個人と組織の成長を統合的に捉え、能力開発とキャリア開発を戦略的に推進している点が特徴的である。経験学習モデルに基づく学習サイクルの重要性を踏まえ、抽象的概念化の段階における組織的な支援に力点を置いているのは、効率的かつ効果的な能力開発を目指す姿勢の表れと言える。
特に、個人開発計画(IGP)を通じて、個人のキャリアビジョンと組織目標とを連動させる取り組みは、メンバーのエンゲージメントを高める上で重要な意味を持つ。自身の成長が組織の発展につながるという実感は、仕事へのモチベーションを高め、主体的な能力開発の原動力となり得る。
また、360度フィードバックの活用は、自己認識と他者からの評価とのギャップを埋め、客観的な強み・改善点の把握を可能にする。これにより、メンバーは自身の成長機会を明確化でき、マネージャーは適切な支援の方向性を定めることができる。
更に、GitLabの充実した学習支援制度は、メンバーの自律的な能力開発を後押しするものと評価できる。社外の教育リソースを積極的に活用することで、組織内では得難い知見やスキルの獲得が可能となり、メンバーの視野を広げることにもつながる。加えて、学習意欲の高いメンバーにとって、手厚い支援制度の存在は魅力的な報酬の一つとなり、優秀な人材の獲得・定着にも寄与し得る。
総じて、GitLabのL&Dの取り組みは、個人と組織の持続的な成長を両立させる戦略的な人材育成の在り方を示していると言える。一方で、メンバーの学習意欲や能力にはバラツキがあることを考慮し、個々のニーズや特性に合わせた支援メニューの提供も求められよう。加えて、学習効果の可視化・定量化も課題の一つと考えられる。引き続き、L&Dの取り組みを進化させ、その成果を検証していくことが期待される。

まとめ

GitLabの事例は、リモート組織の運営において重要な示唆を与えるものである。明確なバリューを基軸としたカルチャーの醸成、透明性の高いコミュニケーション、心理的安全性の確保、成果と行動に基づく評価制度など、GitLabの取り組みは、リモートワーク時代のマネジメントの在り方を示している。特に、人間中心の視点を持ちながら、個人とチームのパフォーマンスを最大化するための施策は、他の組織でも参考になる点が多い。

また、GitLabは、メンバーのコンディショニングやL&Dにも力を入れており、個人の Well-being と成長を重視する姿勢が見て取れる。リモートワークにおいては、メンバーの心身の健康やエンゲージメントの維持が課題となるが、GitLabの事例は、その解決策としての先進的な取り組みと言える。

一方で、GitLabの手法をそのまま適用することは難しく、各組織の文化や特性に合わせたアレンジが必要不可欠である。GitLabから学ぶべきは、その根底にある哲学や原理原則であり、それを自社の文脈で咀嚼し、実践していくことが求められる。

リモートワークは、もはや特殊な働き方ではなく、ニューノーマルとなりつつある。GitLabの先進的な取り組みは、ポストコロナ時代の組織運営の指針となるものであり、日本企業がDXを推進し、グローバルな競争力を高めていく上でも、大いに参考になるはずである。GitLabから学びつつ、自社の強みを活かした独自のリモート組織マネジメントを確立することが、これからの企業経営の鍵を握っていると言えよう。