TadaoYamaokaの開発日記

個人開発しているスマホアプリや将棋AIの開発ネタを中心に書いていきます。

【読書ノート】Don't Make Me Think

ユーザビリティの基本原則をシンプルに説明した名著「Don't Make Me Think」を読んだので内容をまとめる。
以下の内容は、ほとんどClaude3 Opusを使用して作成している。

目次

Introduction: Read me first

要約:

本書はウェブサイトやモバイルアプリのユーザビリティについて解説するものである。著者のSteve Krugユーザビリティコンサルタントとして多くのプロジェクトに関与してきた。ユーザビリティの専門家は需要に対して供給が少ないため、多くの開発チームは専門家を雇うことができない。このため、デザイナーや開発者自身がユーザビリティの知識を身につける必要がある。

幸いにも、ユーザビリティの多くは常識的なことである。本書はユーザビリティの重要な原則を簡潔にまとめることを目指している。網羅的に解説するのではなく、デザインに関わる全ての人が知るべき重要なポイントに絞って説明する。また、モバイル時代に合わせてモバイル特有のユーザビリティ問題についても新たに章を設けて解説している。

重要なポイント:

  • ユーザビリティの専門家は需要に対して供給が少ない。
  • デザイナーや開発者自身がユーザビリティの知識を身につける必要がある。
  • ユーザビリティの多くは常識的なことである。
  • 本書では、デザインに関わる全ての人が知るべき重要なポイントに絞って解説する。
  • モバイル特有のユーザビリティ問題についても解説する。

理解度確認のための質問文:

1. ユーザビリティの専門家が少ない理由は何か?
2. デザイナーや開発者がユーザビリティの知識を身につける必要がある理由は何か?
3. 本書がユーザビリティについて網羅的に解説しない理由は何か?

重要な概念の解説:

  • ユーザビリティ:製品やサービスがユーザーにとって使いやすく、目的を達成しやすいかどうかを表す概念。
  • インタラクションデザイン:ユーザーの行動に対してシステムがどのように反応するかを設計すること。
  • インフォメーションアーキテクチャ:情報を整理し、ユーザーが必要な情報にたどり着きやすいように設計すること。

考察:

ユーザビリティはUIやUXデザインにおいて非常に重要な概念である。製品やサービスが優れた機能を持っていても、ユーザーが使いこなせなければ意味がない。ユーザビリティの向上はユーザーの満足度を高め、ビジネスの成功につながる。

しかし、ユーザビリティの専門家は需要に対して供給が少ないのが現状である。このため、デザイナーや開発者自身がユーザビリティの知識を身につけ、製品やサービスの設計に活かしていく必要がある。

ユーザビリティの基本的な原則は、「ユーザーが迷わない」「ユーザーの目的を阻害しない」「一貫性を保つ」などである。これらの原則を念頭に置きながら、ユーザーの視点に立って設計することが大切である。

また、近年ではモバイルデバイスの普及により、モバイル特有のユーザビリティ問題も顕在化している。小さな画面サイズ、タッチインターフェース、モバイルならではの使用シーンなどを考慮した設計が求められる。

ユーザビリティは、機能や見た目だけでなく、ユーザーの感情にも大きな影響を与える。ユーザーにポジティブな体験を提供し、ストレスを感じさせないことが重要である。そのためには、ユーザーの行動や心理を理解し、共感することが欠かせない。

ユーザビリティはデザインのあらゆる側面に関わる。デザイナーや開発者は、自身の担当領域だけでなく、全体のユーザー体験を意識する必要がある。チームのコミュニケーションを密にし、連携しながら設計することが求められる。

ユーザビリティの向上は一朝一夕で実現できるものではない。ユーザーのフィードバックを得ながら、継続的に改善していくことが重要である。そのためには、ユーザビリティテストやユーザーインタビューなどを定期的に実施し、ユーザーの声に耳を傾けることが欠かせない。

UIやUXデザインにおいて、ユーザビリティは無視できない重要な要素である。デザイナーや開発者一人一人がユーザビリティの知識を身につけ、ユーザー中心の設計を心がけることが、より良い製品やサービスを生み出すために必要不可欠である。

Guiding Principles

Chapter 1. Don’t make me think!

要約:
ウェブサイトやアプリケーションを使いやすくするための最も重要な原則は、「ユーザーに考えさせないこと」である。ユーザーがページを見たときに、そのページが何であり、どのように使うのかが一目瞭然であるべきだ。ユーザーが疑問を感じたり、混乱したりするようなことがあってはならない。例えば、リンクやボタンがクリック可能かどうかを考えさせてはいけない。また、航空券の予約のように、ユーザーがよく行うタスクでは、余計な思考を必要とさせず、スムーズに完了できるようにすべきだ。すべてを一目瞭然にすることは難しい場合もあるが、少なくとも自明性を追求し、ユーザーの思考を最小限に抑えることが重要である。なぜなら、ユーザーはデザイナーが想像するよりもはるかに短い時間でページを見ているからだ。ページが一目で理解できるように設計されていなければ、効果的ではない。

重要なポイント:

  • ウェブサイトやアプリケーションを使いやすくするための最も重要な原則は、「ユーザーに考えさせないこと」である。
  • ユーザーがページを見たときに、そのページが何であり、どのように使うのかが一目瞭然であるべきだ。
  • リンクやボタンがクリック可能かどうかを考えさせてはいけない。
  • 航空券の予約のように、ユーザーがよく行うタスクでは、余計な思考を必要とさせず、スムーズに完了できるようにすべきだ。
  • すべてを一目瞭然にすることは難しい場合もあるが、少なくとも自明性を追求し、ユーザーの思考を最小限に抑えることが重要である。

理解度確認の質問:
1. ウェブサイトやアプリケーションを使いやすくするための最も重要な原則は何か。
2. ユーザーがページを見たときに、どのようであるべきか。
3. なぜ、ユーザーの思考を最小限に抑えることが重要なのか。

重要な概念の解説:

  • 自明性 (self-evident): ユーザーが見ただけで、何をすべきかが一目瞭然であること。説明や考えを必要とせずに理解できる状態。
  • 使いやすさ (usability): ユーザーが目的を達成するために必要な時間と努力を最小限に抑え、効率的かつ満足度の高い方法で製品やサービスを使用できること。

考察:
「ユーザーに考えさせない」というクルーグの第一法則は、ユーザビリティの本質を捉えている。ウェブサイトやアプリケーションの設計において、ユーザーの認知的負荷を最小限に抑えることは非常に重要だ。ユーザーがインターフェースに惑わされることなく、目的のタスクに集中できるようにすべきである。

しかし、現実には多くのウェブサイトやアプリケーションが、不必要な思考を要求している。例えば、わかりにくいナビゲーション、一貫性のないデザイン、あいまいなラベルなどである。これらは、ユーザーの時間を浪費し、フラストレーションを引き起こす。

UI/UXデザイナーは、ユーザーの視点に立ち、インターフェースがどのように理解され、使用されるかを常に考慮する必要がある。ユーザーテストを通じて、潜在的な問題点を発見し、改善することが重要だ。また、デザインの一貫性を保ち、業界の標準やベストプラクティスに従うことも役立つ。

ただし、すべてのインターフェースを完全に自明にすることは現実的ではない。特に、革新的な機能や複雑なタスクを扱う場合は難しいだろう。そのような場合は、コンテキストに応じたヘルプやガイダンスを提供し、ユーザーの学習を支援することが求められる。

最終的に、ユーザビリティの向上は、ユーザーの満足度とロイヤルティを高め、ビジネスの成功につながる。「ユーザーに考えさせない」というシンプルな原則を念頭に置き、絶え間ない改善に取り組むことが、UI/UXデザイナーの使命だと言えるだろう。

Chapter 2. How we really use the Web

要約:
ウェブサイトの設計者は、ユーザーがページを隅々まで読み、慎重に選択すると想定しがちだが、実際のユーザーの行動は大きく異なる。ユーザーは各ページを詳しく読むのではなく、ざっと目を通し、興味を引いたリンクをクリックする。ウェブページを設計する際には、以下の3つの事実を理解する必要がある。
1. ユーザーはページを読まない。スキャンする。
2. ユーザーは最適な選択をしない。最初の妥当な選択肢で満足する。
3. ユーザーは物事の仕組みを理解しようとしない。とにかくやってみる。
これらを念頭に置き、ユーザーがスキャンしやすく、直感的に操作できるデザインを心がけることが重要である。

重要なポイント:

  • ユーザーはページを詳しく読まず、スキャンする
  • ユーザーは最適な選択肢ではなく、最初の妥当な選択肢で満足する
  • ユーザーは物事の仕組みを理解しようとせず、とにかくやってみる
  • ウェブページの設計では、ユーザーの実際の行動を考慮する必要がある

理解度確認のための質問文:

  • ユーザーがウェブページを閲覧する際の典型的な行動は何か?
  • 「satisficing」とはどのような意味か?
  • なぜユーザーは物事の仕組みを理解しようとしないのか?

重要な概念の解説:

  • スキャニング:ページ全体を詳しく読むのではなく、重要なキーワードや興味を引く箇所を探すようにざっと目を通すこと。
  • Satisficing:最適な選択肢を探すのではなく、最初の妥当な選択肢で満足してしまうこと。「satisfying(満足する)」と「sufficing(十分である)」を組み合わせた造語。

考察:
ウェブサイトの設計において、ユーザーの実際の行動を理解することは非常に重要である。設計者が想定するユーザーの行動と、実際の行動には大きな乖離があることを認識し、ユーザーの行動パターンに合わせたデザインを心がける必要がある。

特に、ユーザーがページを詳しく読まずにスキャンするという事実は、情報の優先順位付けや視覚的な階層構造を適切に設計する必要性を示唆している。重要な情報を目立つ場所に配置し、キーワードを強調するなど、ユーザーが必要な情報を素早く見つけられるようなデザインが求められる。

また、ユーザーが最初の妥当な選択肢で満足してしまう傾向があることを考慮し、ユーザーが目的を達成するために必要な情報やアクションへの導線を明確にすることが重要である。ナビゲーションやリンクの配置、ラベリングなどを工夫し、ユーザーが迷うことなく目的を達成できるようにサポートする必要がある。

さらに、ユーザーが物事の仕組みを理解しようとしない傾向があることを踏まえ、直感的に操作できるシンプルなデザインを心がけることが大切である。複雑な機能や選択肢を減らし、ユーザーが戸惑うことなく、スムーズにタスクを完了できるようにする必要がある。

ウェブサイトの設計において、ユーザー中心のアプローチを採用することが成功の鍵となる。ユーザーの行動や心理を深く理解し、それに基づいたデザインを実践することで、ユーザーにとって使いやすく、満足度の高いウェブサイトを制作することができるであろう。ユーザビリティテストやユーザー調査を通じて、継続的にユーザーの行動を観察し、デザインを改善していくことが重要である。

Chapter 3. Billboard Design 101

要約:

Chapter 3「ビルボードデザイン 101」においては、Webページデザインの基本原則が解説されている。具体的には、ユーザーがページをざっと見たときに重要な情報を迅速に把握できるようにする手法が紹介されている。Web上の慣習を活用すること、視覚的な階層を効果的に構築すること、ページを明確に区分すること、クリック可能な要素を明示すること、ノイズを最小限に抑えること、スキャンしやすいテキストのフォーマットを使用することが重要であると述べられている。これらの手法を適用することで、ユーザーはページを迅速に理解し、必要な情報を容易に見つけることができる。一方、慣習を無視した革新的なデザインも有効であるが、ユーザビリティを損なわないように注意する必要がある。

重要なポイント:

  • Web上の慣習を活用し、ユーザーの期待に沿ったデザインを心がける
  • 視覚的な階層を効果的に作り、重要な要素を目立たせる
  • ページを明確に定義されたエリアに分割し、ユーザーが必要な情報を素早く見つけられるようにする
  • クリック可能な要素を明確にし、ユーザーが迷わないようにする
  • ノイズを最小限に抑え、ユーザーが集中できるようにする
  • スキャンしやすいようにテキストをフォーマットする(見出しの使用、短い段落、箇条書き、重要語の強調など)

理解度確認のための質問文:

  • Web上の慣習を無視した革新的なデザインを採用する際に注意すべき点は何か?
  • 視覚的な階層を効果的に作るために、どのような手法が挙げられているか?
  • スキャンしやすいテキストのフォーマットとして、具体的にどのような手法が紹介されているか?

重要な概念の解説:

  • 視覚的階層(Visual Hierarchy):ページ上の要素の重要度や関連性を視覚的に表現すること。サイズ、太さ、色、余白、位置などを適切に使い分けることで、ユーザーがページの構造を素早く理解できるようにする。
  • バナーブラインドネス(Banner Blindness):ユーザーが広告と思われるエリアを無意識に無視してしまう現象。ユーザーがページをスキャンする際、役立つ情報が含まれていそうなエリアに注目が集まる一方、広告エリアは見過ごされやすい。
  • シグナル・ノイズ比(Signal-to-Noise Ratio):有益な情報(シグナル)と無駄な情報(ノイズ)の比率。Webページではノイズを最小限に抑え、シグナル・ノイズ比を高めることが重要。

考察:

Chapter 3で紹介されている手法は、Webデザインにおけるユーザビリティの基本であり、あらゆるWebサイトやアプリケーションに適用できる普遍的な原則である。特に、慣習の活用と視覚的な階層の重要性は強調されるべきである。

ユーザーは既存のWebサイトを通じて一定の期待を持っているため、それに沿ったデザインを採用することで、ユーザーは迷うことなくサイトを利用できる。一方で、時には慣習を打ち破る革新的なデザインも必要であるが、その場合はユーザビリティを十分に考慮し、ユーザーが戸惑わないよう配慮することが重要である。

視覚的な階層は、ユーザーがページの構造を直感的に理解するために欠かせない。重要な要素を目立たせ、関連する要素をグループ化し、情報の関係性を視覚的に表現することで、ユーザーは必要な情報に素早くアクセスできるようになる。

また、本章ではスキャンしやすいテキストのフォーマットについても詳しく解説されている。Webユーザーの多くは、ページを隅々まで読むのではなく、必要な情報を探すために素早くスキャンしている。そのため、見出しの適切な使用、短い段落、箇条書き、重要語の強調などの手法を用いて、テキストをスキャンしやすくすることが重要である。

さらに、ノイズを最小限に抑えることも忘れてはいけない。ユーザーの注意を引きつけようとするあまり、過剰な装飾や情報を詰め込んでしまうと、かえってユーザーを混乱させてしまう。シンプルで洗練されたデザインを心がけ、ユーザーが目的の情報に集中できるようにすべきである。

Chapter 4. Animal, Vegetable, or Mineral?

要約:
ウェブサイトのユーザビリティにおいて、ユーザーが目的のページにたどり着くまでのクリック数よりも、各クリックの難易度の方が重要である。ユーザーは、明確で迷いのない選択肢であれば多くのクリックを厭わない。動物、植物、鉱物の三択のように、考える必要のない選択肢を提供することが理想的だ。しかし現実には簡単な選択肢だけでは済まない場合もある。その際は、簡潔で、タイムリーで、見逃せない形式でユーザーをサポートする必要がある。例えば、フォームのフィールド横のヒントや「これは何ですか?」リンク、ツールチップなどである。ロンドンの街角で見られる「LOOK RIGHT」の標識は、ユーザーサポートの好例だ。ウェブ上で選択を行う際、ユーザーの思考を最小限に抑えることが、ユーザビリティを高めるための重要なポイントである。

重要なポイント:
1. クリック数よりも、各クリックの難易度が重要
2. 考える必要のない明確な選択肢を提供する
3. 難しい選択を避けられない場合は、簡潔で、タイムリーで、見逃せない形式でユーザーをサポートする
4. ユーザーの思考を最小限に抑えることがユーザビリティ向上のカギ

理解度確認の質問:
1. ユーザビリティにおいて、クリック数と各クリックの難易度はどちらがより重要か?
2. ユーザーをサポートする際、どのような形式が望ましいか?
3. ロンドンの街角で見られる「LOOK RIGHT」の標識が優れている理由は何か?

重要な概念の解説:

  • 情報の香り (Scent of Information): ユーザーが目的の情報に近づいていることを確信させる、リンクテキストや情報の明確さを表す比喩的表現。
  • マインドレスな選択 (Mindless Choices): ユーザーが考える必要のない、明確で迷いのない選択肢のこと。動物、植物、鉱物の三択が例として挙げられている。

考察:
ウェブサイトのユーザビリティ向上において、ユーザーの思考を最小限に抑えることが重要だという著者の主張は示唆に富んでいる。インターネットの普及により、あらゆる情報がウェブ上で入手可能になった現代では、ユーザーは膨大な選択肢に晒されている。その中で目的の情報にたどり着くには、適切なナビゲーションとわかりやすいインターフェイスが不可欠だ。

特に、モバイルデバイスの普及により、ユーザーはより短時間で、より直感的な操作を求めるようになった。この傾向は今後さらに加速するだろう。したがって、ウェブデザイナーはユーザーの思考負荷を常に意識し、シンプルで明快なデザインを心がける必要がある。

一方で、すべての選択肢をマインドレスにすることは現実的ではない。ユーザーに難しい選択を強いる場合もあるだろう。その際は、適切なサポートを提供することが肝要だ。ツールチップやポップアップヘルプなど、文脈に応じた補助情報を効果的に使うことで、ユーザーの理解を助けることができる。

また、ユーザーの行動データを分析し、よく使われる機能や情報を優先的に表示するなど、パーソナライズされた体験を提供することも有効だろう。AIを活用した適応型インターフェイスの研究も進んでおり、将来的にはユーザーの習熟度に合わせてUIが自動的に最適化されるようになるかもしれない。

Chapter 5. Omit needless words

要約:
ウェブページの文章は簡潔にすべきである。不要な言葉を削ることで、ページのノイズレベルが下がり、有用なコンテンツが目立つようになる。また、ページが短くなることで、ユーザーは一目でページ全体を把握できるようになる。Happy Talk自画自賛のような無駄な文章)や冗長な説明文は削除すべきである。説明文は最小限に留め、できる限り直感的に操作できるようにすることが重要である。

重要なポイント:

  • ウェブページの文章は簡潔にすべきである
  • 不要な言葉を削ることでページのノイズレベルが下がり、有用なコンテンツが目立つ
  • ページが短くなることで、ユーザーは一目でページ全体を把握できる
  • Happy Talkや冗長な説明文は削除すべきである
  • 説明文は最小限に留め、できる限り直感的に操作できるようにすることが重要

理解度確認の質問:
1. ウェブページの文章を簡潔にすることで得られる利点は何か?
2. Happy Talkとはどのような文章のことを指すか?
3. 説明文を最小限に留めることが重要な理由は何か?

重要な概念の解説:

  • Happy Talk: 自画自賛のような、ユーザーにとって価値のない文章のこと。ウェブサイトへの歓迎文や、セクションの紹介文などに多く見られる。
  • 直感的な操作: ユーザーが説明文を読まなくても、ウェブサイトの機能を理解し、操作できること。

考察:
ウェブサイトのユーザビリティを向上させるためには、ページの文章を簡潔にすることが非常に重要である。不要な言葉を削ることで、ページのノイズレベルが下がり、有用なコンテンツが目立つようになる。また、ページが短くなることで、ユーザーは一目でページ全体を把握できるようになる。

特に、Happy Talkと呼ばれる自画自賛のような無駄な文章や、冗長な説明文は削除すべきである。これらの文章はユーザーにとって価値がなく、かえってページを読みにくくしてしまう。説明文は最小限に留め、できる限り直感的に操作できるようにすることが重要である。

ただし、文章を簡潔にするあまり、必要な情報まで削ってしまわないよう注意が必要である。ユーザーがタスクを完了するために必要な情報は残しておかなければならない。また、専門用語や難解な言葉を使わず、ユーザーが理解しやすい言葉で説明することも大切である。

ウェブサイトのデザインは、ユーザーの目的を達成するためのものでなければならない。ユーザーが必要な情報にたどり着き、タスクを完了できるよう、シンプルで分かりやすいデザインを心がけるべきだ。そのためには、ページの文章を簡潔にし、直感的な操作を可能にすることが不可欠なのである。

Things You Need to Get Right

Chapter 6. Street signs and Breadcrumbs

要約:

Chapter 6では、ウェブサイトのナビゲーションデザインについて解説されている。良いナビゲーションは、コンテンツの階層構造を明確に示し、ユーザーがサイト内で現在位置を把握できるようにする。持続的ナビゲーションには、サイトID、セクション、ユーティリティ、検索機能を含める必要がある。また、各ページにはページ名と「現在位置」インジケーターを表示し、パンくずリストを使用すると効果的である。タブインターフェースは、セクションを明確に区切るのに適している。ナビゲーションが機能するかどうかは、「トランクテスト」で確認できる。ユーザーがサイトのどこからでも、自分の位置とオプションを即座に識別できるナビゲーションが理想的である。

重要なポイント:

  • ウェブナビゲーションは、物理的な空間とは異なる特性を持っている
  • 持続的ナビゲーションは、サイトID、セクション、ユーティリティ、検索機能を含むべき
  • ページ名は明確で目立つ位置に配置し、クリックした内容と一致させる
  • 「現在位置」インジケーターとパンくずリストは、ユーザーのオリエンテーションに役立つ
  • タブインターフェースは、セクションを視覚的に区切るのに効果的
  • 「トランクテスト」で、ナビゲーションの有効性を評価できる

理解度確認の質問文:

  • 持続的ナビゲーションに含めるべき4つの要素は何か?
  • 「現在位置」インジケーターとパンくずリストは、ユーザーにどのような利点をもたらすか?
  • 「トランクテスト」とは何か?また、それはナビゲーションの評価にどのように役立つか?

重要な概念の解説:

  • 持続的ナビゲーション(Persistent Navigation):サイトのすべてのページに表示されるナビゲーション要素のセット。サイトID、セクション、ユーティリティ、検索機能を含む。
  • 「現在位置」インジケーター("You are here" indicator):ユーザーが現在サイト内のどの位置にいるかを示す視覚的な手がかり。ナビゲーションバーやメニューの現在位置をハイライト表示するなどの方法で実装される。
  • パンくずリスト(Breadcrumbs):ユーザーがたどってきたページの階層を示すナビゲーション要素。通常、ホームページからユーザーが現在いるページまでのリンクが「>」で区切られて表示される。
  • トランクテスト(Trunk Test):ナビゲーションの有効性を評価するための手法。ユーザーがサイトの任意のページに直接アクセスしたとき、そのページだけでサイト内の自分の位置と選択肢を把握できるかどうかをテストする。

考察:

Chapter 6で提示されたウェブナビゲーションの原則は、ユーザーエクスペリエンスを向上させるために非常に重要である。特に、持続的ナビゲーションの構成要素や、ページ名と「現在位置」インジケーターの明確さは、ユーザーが迷子にならないようにするために不可欠だ。

ただし、ナビゲーションデザインは、サイトの目的や対象ユーザー層によって異なるアプローチが必要になる場合がある。例えば、エンターテインメント系のサイトでは、没入感を重視するためにナビゲーションを最小限に抑えることもある。一方、E-コマースサイトでは、ユーザーが目的の商品にスムーズにたどり着けるよう、詳細なナビゲーションが必要となる。

また、モバイルデバイスの普及に伴い、レスポンシブデザインやモバイルファーストのアプローチが重要になっている。小さな画面でもナビゲーションが機能するよう、シンプルで直感的なデザインが求められる。ハンバーガーメニューやアコーディオンメニューなどのパターンを適切に使用することで、限られたスペースでもナビゲーションを最適化できる。

さらに、ナビゲーションはサイトの情報アーキテクチャと密接に関連している。コンテンツの構造が複雑になりすぎると、ナビゲーションも複雑になり、ユーザーを混乱させてしまう。情報アーキテクチャの設計段階から、ユーザーの目的や行動パターンを考慮し、論理的で一貫性のある構造を作ることが重要だ。

最後に、ナビゲーションのユーザビリティは、継続的なテストと改善が必要不可欠である。「トランクテスト」のような手法で定期的にナビゲーションを評価し、ユーザーのフィードバックを取り入れながら、常に最適化を図っていくべきだ。

Chapter 7. The Big Bang Theory of Web Design

要約:

Chapter 7「Webデザインのビッグバン理論」は、Webサイトのホームページデザインの重要性について述べるものである。ホームページは、サイトのアイデンティティやミッション、サイト全体の構成、検索機能、プロモーション、タイムリーなコンテンツ、広告、ショートカット、ユーザー登録など、様々な要素を含む必要がある。しかし、最も重要なことは、サイトが何であるかを明確に伝えることである。ユーザーがサイトを訪問した最初の数秒で、サイトの目的を理解できるようにすることが不可欠である。そのためには、タグライン、ウェルカムブラーブ、説明用のビデオなどを効果的に使用する必要がある。また、ホームページには、ユーザーが次に何をすべきかを明確に示す必要がある。しかし、ホームページのスペースは限られているため、すべてを詰め込もうとすると、かえって目的が不明確になってしまう。ホームページの設計には、常に慎重な判断が求められるのである。

重要なポイント:

  • ホームページは、サイトのアイデンティティ、ミッション、構成、検索機能、プロモーション、タイムリーなコンテンツ、広告、ショートカット、ユーザー登録など、様々な要素を含む必要がある。
  • ホームページの最も重要な役割は、サイトが何であるかを明確に伝えること。
  • ユーザーがサイトを訪問した最初の数秒で、サイトの目的を理解できるようにすることが不可欠。
  • タグライン、ウェルカムブラーブ、説明用のビデオなどを効果的に使用し、サイトの目的を明確に伝える。
  • ホームページには、ユーザーが次に何をすべきかを明確に示す必要がある。
  • ホームページのスペースは限られているため、すべてを詰め込もうとすると、かえって目的が不明確になる。

理解度確認のための質問文:

  • ホームページに含まれるべき主な要素は何か?
  • ホームページの最も重要な役割は何か?
  • タグライン、ウェルカムブラーブ、説明用のビデオの役割は何か?

重要な概念の解説:

  • タグライン:サイト全体を特徴づける簡潔なフレーズのこと。サイトが何で、何が優れているかを端的に表現する。
  • ウェルカムブラーブ:ホームページの目立つ場所に表示される、サイトの簡潔な説明文のこと。
  • トラジェディー・オブ・ザ・コモンズ:共有地の悲劇とも呼ばれる経済学の概念。共有資源が過剰に利用されることで、資源が枯渇してしまうという現象を指す。ホームページのスペースも共有資源であり、過剰なプロモーションは、ホームページの効果を損なう可能性がある。

考察:

Chapter 7で述べられているホームページデザインの重要性は、今日のWebサイト設計においても非常に重要な概念である。特に、モバイルデバイスの普及により、ユーザーがサイトを訪問する際の最初の印象の重要性はさらに高まっている。限られた画面サイズの中で、サイトの目的を明確に伝えることは容易ではないのである。

そのため、UI/UXデザイナーは、ホームページの設計において、優先順位を慎重に検討する必要がある。タグラインやウェルカムブラーブは、サイトの目的を明確に伝えるために非常に効果的であるが、同時に、ユーザーを混乱させないよう、簡潔でわかりやすい表現を心がける必要がある。また、説明用のビデオは、サイトの機能や利点を効果的に伝えることができるが、ユーザーがビデオを見ることを好まない場合もあるため、テキストベースの説明も用意しておくことが望ましいである。

さらに、ホームページのスペースが限られていることを考慮し、すべてのステークホルダーの要求を詰め込むのではなく、ユーザーにとって最も重要な情報やアクションを優先的に配置することが重要である。この点では、サイト全体のナビゲーション設計とも密接に関連している。ユーザーがホームページから目的のページにスムーズに移動できるよう、適切なリンクやカテゴリ分けを提供する必要があるのである。

また、トラジェディー・オブ・ザ・コモンズの概念は、ホームページのスペース配分だけでなく、サイト全体のコンテンツ管理にも当てはまるのである。各部門や関係者が自分たちのコンテンツを優先しようとすることで、サイト全体の一貫性や使いやすさが損なわれることがある。これを防ぐためには、サイト全体のガバナンスを確立し、コンテンツの優先順位付けや更新プロセスを明確に定義することが重要である。

UI/UXデザイナーは、これらの点を踏まえつつ、ユーザー中心の設計思想に基づいて、ホームページをデザインしていく必要がある。サイトの目的を明確に伝え、ユーザーを適切に導くことで、サイトの価値を最大限に引き出すことができるであろう。

Making Sure You Got them Right

Chapter 8. “The Farmer and the Cowman Should Be Friends”

要約:

Chapter 8では、Webサイトのユーザビリティに関する議論が非生産的になりがちな理由と、その解決策について述べられています。Webチームのメンバーは、個人的な好みや職業的な視点の違いから、ユーザビリティに関して意見が対立しがちです。また、「平均的なユーザー」という神話を信じ、ユーザーの好みを一般化しようとする傾向があります。しかし、実際にはすべてのユーザーが独自の特性を持っており、一概に好みを断定することはできません。この問題を解決するには、議論ではなく、実際にユーザーテストを行うことが重要です。ユーザーテストを通じて、個々のユーザーの動機や反応の多様性を理解し、何が機能するかを客観的に判断することができます。

重要なポイント:

  • Webチームのメンバーは、個人的な好みや職業的な視点の違いから、ユーザビリティに関して意見が対立しがち
  • 「平均的なユーザー」という神話を信じ、ユーザーの好みを一般化しようとする傾向がある
  • すべてのユーザーが独自の特性を持っており、一概に好みを断定することはできない
  • 議論ではなく、実際にユーザーテストを行うことが重要
  • ユーザーテストを通じて、個々のユーザーの動機や反応の多様性を理解し、何が機能するかを客観的に判断できる

理解度確認のための質問:

  • Webチームのメンバー間で、ユーザビリティに関する意見の対立が起こる主な原因は何か?
  • 「平均的なユーザー」の神話とは何を指し、なぜそれが問題か?
  • ユーザビリティに関する議論を解決するための最善の方法は何か?

重要な概念の解説:

  • ユーザビリティ:ユーザーがWebサイトを効果的に、効率的に、満足度高く使用できる度合いを示す概念。
  • ユーザーテスト:実際のユーザーにWebサイトを使ってもらい、その行動や反応を観察・分析することで、ユーザビリティの問題点を発見し、改善につなげる手法。

考察:

Chapter 8で指摘されているように、Webサイトのユーザビリティに関する議論は、しばしば非生産的になりがちです。個人的な好みや職業的な視点の違いが、意見の対立を生み出す主な原因となっています。さらに、「平均的なユーザー」という神話を信じ、ユーザーの好みを一般化しようとする傾向も、議論を複雑にしています。

しかし、現実には、すべてのユーザーが独自の特性を持っており、一概に好みを断定することはできません。ユーザーの動機、知覚、反応は多様であり、それを理解することが重要です。

この問題を解決するには、議論ではなく、実際にユーザーテストを行うことが最善の方法です。ユーザーテストを通じて、個々のユーザーの行動や反応を観察・分析することで、何が機能し、何が機能しないかを客観的に判断することができます。

ただし、ユーザーテストを効果的に実施するには、いくつかの注意点があります。まず、テストするユーザーは、Webサイトのターゲットオーディエンスを適切に代表している必要があります。また、テストのシナリオや課題は、ユーザーの実際の目的や行動を反映したものでなければなりません。

さらに、ユーザーテストの結果を解釈する際には、個々のユーザーの反応を過度に一般化しないように注意が必要です。テスト結果は、ユーザビリティの問題点を特定するための指針として活用すべきであり、絶対的な答えではありません。

最終的には、ユーザーテストの結果を踏まえつつ、Webチームのメンバーが協力して、ユーザーにとって最善のソリューションを見出していくことが重要です。個人的な好みや職業的な視点の違いを乗り越え、ユーザーの多様性を尊重しながら、Webサイトのユーザビリティを継続的に改善していく姿勢が求められます。

Chapter 9. Usability testing on 10 cents a day

要約:

Chapter 9「10セントの使いやすさテスト」では、ウェブサイト開発におけるユーザビリティテストの重要性と、誰でも簡単に実施できる方法について解説している。従来のユーザビリティテストは高価で大掛かりなものであったが、そんな必要はない。月に1回、1時間程度のテストを行うだけで、サイトの使いやすさを大幅に改善できる。テストでは、ユーザーに実際にサイトを使ってもらい、その様子を観察する。テスト参加者は3人程度で十分である。テスト後は開発チームでディスカッションを行い、最も重大な問題から優先的に修正していく。頻繁にテストを行うことで、開発の初期段階から使いやすさを改善し、ユーザーの満足度を高めることができるのである。

重要なポイント:

  • ユーザビリティテストは早い段階から頻繁に行うべきである。
  • 参加者は3人程度で十分であり、多様な参加者を集める必要はない。
  • 参加者にサイトを実際に使ってもらい、その様子を観察する。
  • テスト後は開発チームでディスカッションを行い、問題点を共有する。
  • 最も重大な問題から優先的に修正していく。

理解度確認のための質問文:

  • ユーザビリティテストを頻繁に行うことで得られるメリットは何か?
  • テストに必要な参加者の人数と、その理由を説明せよ。
  • テスト中、参加者にはどのような行動をしてもらうか?

よく使われる重要な概念の解説:

  • ユーザビリティ:製品やサービスが、ユーザーにとって使いやすく、効率的で、満足度の高いものであるかを示す指標である。
  • シンクアラウド:ユーザーに課題を遂行してもらう際、考えていることを発話してもらう手法である。ユーザーの思考プロセスを理解するために用いられる。
  • ファシリテーターユーザビリティテストにおいて、参加者に指示を与え、テストを円滑に進行させる役割を担う人である。

考察:

ユーザビリティテストは、ウェブサイトやアプリケーションの開発において欠かせないプロセスである。開発者は自分たちの作ったものに慣れ親しんでいるため、初めて使うユーザーの視点で問題点を発見することが難しくなる。そこで、実際のユーザーに使ってもらい、その様子を観察することで、サイトの使いやすさを評価・改善していくのである。

この章で紹介されている「DIY(Do It Yourself)ユーザビリティテスト」は、少人数で短時間に実施できる手軽な手法である。専門家に依頼するような大規模なテストでなくても、十分に有益な知見を得ることができる。特に、開発の初期段階から頻繁にテストを行うことで、大きな問題を早期に発見し、修正することができるのである。

ただし、テストを実施する際には、参加者の選定や、テスト内容の設計には十分な配慮が必要である。参加者は、サイトのターゲットユーザーに近い属性の人を集めることが理想的であるが、そうでない場合でも、少人数のテストを頻繁に行うことで、重大な問題の多くは発見できる。また、テストの内容は、サイトの主要な機能や目的に沿ったものを用意し、参加者が自然な状況で操作できるようにすることが大切である。

テスト後のディスカッションでは、開発チーム全体で問題点を共有し、修正方法を検討する。その際、最も重大な問題から優先的に対応していくことが重要である。問題の重要度を適切に判断し、リソースを効果的に配分することが求められる。

UI/UXの専門家として、私は「DIYユーザビリティテスト」が多くの開発チームにとって有益な手法であると考える。大掛かりなテストではなく、小さくても頻繁なテストを積み重ねることで、サイトの使いやすさを継続的に改善していくことができるであろう。ただし、テストの設計や結果の解釈には一定の知識と経験が必要である。専門家のアドバイスを求めながら、チーム内で経験を積んでいくことをおすすめする。


Larger Concerns and Outside Influences

Chapter 10. Mobile: It’s not just a city in Alabama anymore

要約:

モバイルデバイスでのWebやアプリのユーザビリティは、PCとは異なる課題がある。スクリーンが小さいため、PCで使用していた hover などの機能が使えない。また、レスポンシブデザインの実装は容易ではない。モバイルアプリでは、使い方を学習するのが難しく、一度学習しても忘れやすい。フラットデザインの流行は、わかりやすさを犠牲にしている面もある。モバイル対応を進める上で、ユーザビリティテストが重要である。テスト方法はPCと基本的に同じだが、モバイル特有の工夫が必要だ。カメラをデバイスに直接取り付けるなどの方法で、ユーザーの操作を詳細に観察できる。モバイルは今後ますます重要になるため、ユーザー体験の質を確保しつつ対応を進めていくことが求められる。

重要なポイント:

  • モバイルデバイスでは、画面が小さく、hover などの機能が使えない
  • レスポンシブデザインの実装には工夫が必要
  • モバイルアプリは学習しにくく、忘れやすい
  • フラットデザインは見た目を重視するあまり、わかりやすさを損なう恐れがある
  • モバイルでもユーザビリティテストが重要。カメラの取り付け方などの工夫が必要

理解度確認の質問:

  • モバイルデバイスでWebやアプリを利用する上での課題は何か?
  • レスポンシブデザインを実装する際、どのような点に注意が必要か?
  • モバイルアプリのユーザビリティを評価する際、どのような点に着目すべきか?

重要な概念の解説:

  • レスポンシブデザイン:様々な画面サイズに対応できるよう、レイアウトや要素の配置を柔軟に変更できるデザイン手法。
  • フラットデザイン:装飾的な表現を控え、シンプルで平面的なデザインを指す。直感的なわかりやすさを重視する一方、クリック可能な要素がわかりにくくなるなどの弊害もある。
  • アフォーダンス:対象物の形状や見た目から、その使い方や操作方法を直感的に理解できるような手がかりのこと。

考察:

モバイルデバイスでのユーザー体験は、今後ますます重要性が高まっていくと考えられる。スマートフォンタブレットは、多くの人にとって主要なインターネット接続デバイスとなっており、PCを所有しない人も増えている。そのため、Webサイトやアプリがモバイルデバイスで快適に利用できるかどうかは、ビジネス上の成功を左右する重要な要素となりつつある。

一方で、著者が指摘するように、モバイルデバイス特有の制約に適切に対応することは容易ではない。画面サイズが小さいため、情報の優先順位づけとコンテンツの絞り込みが必要になる。タッチ操作が主体となるため、ボタンのサイズや配置には十分な配慮が求められる。スマートフォンの多様な機能を活用したユニークなUIが登場する一方で、使い方の学習が難しくなるというジレンマもある。

こうした課題に対応するには、ユーザー中心設計の考え方に基づき、綿密なユーザー調査とテストを重ねていくことが不可欠である。その際、著者が提案するような工夫を凝らしたテスト手法は大いに参考になるだろう。ユーザーがどのようにデバイスを操作しているかを詳細に観察することで、改善のヒントが得られるはずだ。

また、モバイルの世界では新しい技術やデバイスが次々と登場しており、それらを積極的に活用していくことも重要である。単にPC向けのデザインをモバイルに合わせて縮小するのではなく、モバイルならではの強みを生かした新しいユーザー体験を生み出していくことが求められる。

Chapter 11. Usability as common courtesy

要約:
この章では、ウェブサイトのユーザビリティにおいて、ユーザーに対する思いやりや配慮の重要性が説明されている。ユーザーがサイトを訪問する際、最初は一定の好意(goodwill)を持っているが、サイト内の問題によってこの好意は減少していく。ユーザーの必要な情報を隠したり、不要な情報を要求したり、ユーザーの目的を妨げるようなことをすると、ユーザーの好意は失われていく。一方、ユーザーのニーズを理解し、必要な情報を提供し、ユーザーの手間を削減するようなことをすれば、失われた好意を回復させることができる。ウェブサイトの設計において、ユーザーの気持ちを理解し、思いやりを持って接することが重要である。

重要なポイント:

  • ユーザーはサイトに対して一定の好意(goodwill)を持っているが、サイト内の問題でこの好意は減少する
  • ユーザーの必要な情報を隠したり、不要な情報を要求したりすると、ユーザーの好意は失われる
  • ユーザーのニーズを理解し、必要な情報を提供し、手間を削減することで、失われた好意を回復できる
  • ウェブサイトの設計では、ユーザーの気持ちを理解し、思いやりを持って接することが重要

理解度確認のための質問:
1. ユーザーがサイトに対して持つ「goodwill」とは何か?
2. ユーザーの好意を失わせるサイト設計の例を2つ挙げよ。
3. 失われたユーザーの好意を回復するために、サイト設計で心がけるべきことは何か?

重要な概念の解説:

  • Goodwill:ユーザーがウェブサイトに対して持っている好意や信頼のこと。ユーザーはサイトを訪問する際、ある程度の goodwill を持っているが、サイトの問題によってこれが減少する。
  • Usability:ウェブサイトが使いやすく、ユーザーが目的を達成できるかどうかを表す指標。ユーザビリティが高いサイトは、ユーザーの目的達成を助け、満足度を高める。

考察:
ウェブサイトのユーザビリティにおいて、ユーザーに対する思いやりや配慮は非常に重要である。多くの企業がウェブサイトを重要なマーケティングチャネルと位置づけているが、そこでユーザーの気持ちを無視したサイト設計をしてしまうと、せっかくの機会を逃してしまうことになる。

特に、ユーザーの目的達成を妨げるようなサイト設計は厳に慎むべきである。例えば、問い合わせ先の電話番号を意図的に隠したり、価格情報を最後まで示さなかったりするのは、一時的に企業側のコストを下げられるかもしれないが、長期的にはユーザーの反感を買い、ブランドイメージを大きく損ねることになるだろう。

またサイトのデザインが素人っぽかったり、必要以上に派手だったりするのもよくない。ユーザーの多くは限られた時間の中で目的の達成を目指しているのだから、そこに余計な装飾は不要である。もちろん適度な装飾は必要だが、ユーザーの目的達成を阻害するほどであってはならない。

ウェブサイトの設計において最も重要なのは、ユーザーの視点に立って考えることである。サイトの狙いはユーザーの目的達成であり、そのために必要な情報を適切に提供し、不要な手間を省くことが求められる。これを実現するには、ユーザーの行動や心理をよく理解し、そこに共感することが欠かせない。

ユーザー中心設計は、ビジネス的にも大きな意味を持つ。ユーザーに寄り添い、優れたユーザー体験を提供することこそが、長期的な顧客の獲得と維持につながるのである。この点を理解し、ユーザーとの良好な関係構築を目指すことが、これからのウェブサイト設計に求められていると言えるだろう。

Chapter 12. Accessibility and you

承知しました。書籍「Don't Make Me Think, Revisited: A Common Sense Approach to Web Usability (Voices That Matter)」のChapter 12について、要約、重要ポイント、理解度チェック用の質問、重要な概念の解説、そして専門家としての考察と補足を以下に記載します。

要約:
本章では、アクセシビリティユーザビリティの関係性について述べられています。多くのデザイナーや開発者がアクセシビリティの重要性を認識しつつも、その実装には消極的です。その理由として、障がい者の割合に関する統計への疑念や、アクセシビリティ対応がマジョリティにとって使いづらくなるのではという懸念があります。しかし、著者は「アクセシビリティ対応は単に正しいことである」と主張します。そして、アクセシビリティ向上のための具体的な方法として、1. 全ユーザーを混乱させるユーザビリティの問題を解決する、2. スクリーンリーダー使用者の観察に関する記事を読む、3. アクセシビリティに関する書籍を読む、4. 簡単に対応できる項目から着手する、の4点を挙げています。

重要なポイント:

理解度チェック用の質問:

重要な概念の解説:

  • スクリーンリーダー:主に視覚障がい者が使用する、画面上のテキストを音声で読み上げるソフトウェア。
  • altテキスト:画像の代替テキスト。スクリーンリーダーで読み上げられる。
  • WAI-ARIA(Accessible Rich Internet Applications):Web上のアプリケーションを機械可読な形で表現することで、アクセシビリティを向上させるための仕様。

考察:
アクセシビリティは、ウェブサイトの利用において誰もが同等のアクセス権を持つべきであるという理念に基づいています。デザイナーや開発者がアクセシビリティ対応に消極的になる背景には、利用者像の偏りや実装コストへの懸念があると考えられます。しかし、著者が指摘するように、アクセシビリティ対応は単に正しいことであり、社会的責任の一部でもあります。

また、アクセシビリティユーザビリティは密接に関係しています。全ユーザーにとって使いやすいデザインは、結果的に障がいを持つユーザーにとっても使いやすくなります。逆に、アクセシビリティが低いサイトは、全ユーザーにとっても使いづらいものになりがちです。

著者が提案する具体的な方法は、専門的な知識がなくても取り組みやすいものばかりです。特に、スクリーンリーダー使用者の観察は、アクセシビリティ問題への理解を深める上で非常に有効です。自分自身が障がい者の立場に立って考えることで、より包括的なデザインができるようになります。

ただし、本章の内容だけでアクセシビリティ対応が完璧にできるわけではありません。より高度な対応には、WAI-ARIAなどの専門的な知識も必要になります。また、アクセシビリティは一度達成すれば終わりではなく、継続的に改善し続ける必要があります。

Chapter 13. Guide for the perplexed

要約:

ユーザビリティを実践する上で、組織内の理解と支援を得ることは重要である。まず、現在のユーザビリティ分野の状況を理解する必要がある。UXデザインの一部としてユーザビリティが位置付けられ、各専門分野が密接に関わっている。経営陣の理解を得るには、ユーザビリティテストへの参加を促し、ROIを示し、組織の課題解決に役立つことを伝えるのが効果的だ。また、自主的にテストを実施し、改善効果を示すことも有効である。ユーザビリティの専門家として、ユーザーの立場に立ち、操作性を高めることが重要だ。一方で、ユーザーを操作するようなデザインには注意が必要である。最後に、いくつかのデザイン原則が示されている。

重要なポイント:

  • ユーザビリティ分野の現状を理解する
  • 経営陣のユーザビリティテストへの参加を促す
  • 自主的にテストを実施し、改善効果を示す
  • ユーザーの立場に立ち、操作性を高める
  • ユーザーを操作するデザインは避ける
  • デザイン原則を守る(小さくコントラストの低い文字は使わない、フォームのラベルはフィールド内に配置しない、など)

理解度確認の質問:

  • ユーザビリティの専門家として、組織内の理解と支援を得るために効果的な方法は何か?
  • ユーザビリティテストを自主的に実施する際に重要なポイントは何か?
  • ユーザーを操作するようなデザインにはどのような注意が必要か?

重要な概念の解説:

  • ROI(Return on Investment):投資に対する利益の割合。ユーザビリティ改善による効果を数値化し、投資対効果を示すことで経営陣の理解を得やすくなる。
  • ユーザー中心設計(UCD):ユーザーの要求や特性を考慮し、ユーザビリティを重視した設計プロセス。
  • ユーザーエクスペリエンス(UX):ユーザーが製品やサービスを通して得る総合的な体験。ユーザビリティはUXの一部として位置付けられる。

考察:

ユーザビリティを組織に浸透させるには、専門家としての知識とスキルだけでなく、組織内の調整力やコミュニケーション能力も求められる。著者が提示した戦略は、経営陣の理解を得るための効果的なアプローチであり、実践的な助言といえる。

特に、ユーザビリティテストへの経営陣の参加は、ユーザーの実際の行動を目の当たりにすることで、課題や改善の必要性を直感的に理解してもらえる良い機会となる。また、自主的にテストを実施し、改善効果を示すことは、ユーザビリティの重要性を具体的に伝える上で説得力がある。

ただし、これらの取り組みを成功させるには、専門家自身が組織の目標や課題を深く理解し、ユーザビリティとの関連性を明確に説明できることが前提となる。また、テストの実施やデータの分析には一定のスキルと経験が必要であり、専門家としての能力向上も欠かせない。

著者が警鐘を鳴らしているユーザーを操作するデザインについては、倫理的な問題だけでなく、長期的にはユーザーの信頼を失うリスクがあることを強調したい。ユーザビリティの本質は、ユーザーの目的達成を支援し、満足度を高めることにある。ユーザーを操作するようなデザインは、一時的な成果は得られるかもしれないが、ユーザビリティの原則に反するものであり、専門家として断固避けるべきである。

まとめ

ユーザビリティの原則

1. ユーザーに考えさせないこと
ウェブページは自己説明的で明確であるべきである。ユーザーがページの機能や目的をすぐに理解できるようにすべきである。

2. 明確な視覚的階層を作成すること
デザイン要素はその重要性と関係性を明確に示すべきである。サイズ、色、レイアウトを使用して、ユーザーの注意を導く階層を作成することが望ましい。

3. 慣習を利用すること
ユーザーが慣れ親しんでいるウェブの慣習に従うべきである。これにより学習曲線が短くなり、サイトが直感的になる。

4. クリック可能な要素を明確にすること
リンクやボタンは他のテキストと明確に区別されるべきである。色、下線、またはボタンを使用して、それらを際立たせることが重要である。

5. 注意をそらすものを排除すること
ユーザーの主要なタスクから注意をそらす不要な要素を最小限に抑えるべきである。シンプルさと明確さに焦点を当てることが求められる。

6. 効果的なフィードバックを提供すること
クリックやフォーム送信などの操作後、ユーザーに即時かつ明確なフィードバックを提供することが必要である。

7. 読むのではなくスキャンするためのデザインをすること
ユーザーはウェブページを完全に読むのではなくスキャンすることが多い。見出し、箇条書き、簡潔なテキストを使用して情報をスキャンしやすくすべきである。

8. ナビゲーションを簡素化すること
ナビゲーションはわかりやすく、一貫しているべきである。明確なラベルを使用し、論理的な構造を提供することが重要である。

9. アクセシビリティを優先すること
障害を持つユーザーを含むすべてのユーザーが効果的にサイトを利用できるように設計することが望ましい。

10. 早期かつ頻繁なテストを行うこと
デザインプロセス全体でユーザビリティテストを実施し、問題を特定して修正することが必要である。ユーザーフィードバックに基づいて繰り返すことが望ましい。

避けるべきこと

1. ユーザーに選択肢を過剰に与えること
一度にあまりにも多くのオプションや機能を提供しないようにすべきである。これはユーザーを圧倒し、決定麻痺を引き起こす可能性がある。

2. 専門用語や技術用語の使用
言葉を簡単にし、ユーザーが混乱しないように専門用語を避けるべきである。

3. モバイルの使いやすさを無視すること
サイトがレスポンシブであり、モバイルデバイスでも機能するようにすべきである。モバイルの使いやすさは現代のウェブ環境で重要である。

4. 複雑なナビゲーション構造を作成すること
深いまたは複雑なナビゲーションパスを作成しないようにすべきである。ユーザーは数クリックで必要なものを見つけるべきである。

5. デザインの慣習に従わないこと
ユーザーを混乱させるような非慣習的なデザイン選択を避けるべきである。広く受け入れられているパターンに従うことが重要である。

6. 不適切なエラーハンドリング
明確で役立つエラーメッセージを提供すべきである。ユーザーが問題を解決するのに役立たない曖昧なまたは技術的なエラーメッセージを避けることが必要である。

7. パフォーマンスを無視すること
サイトが迅速に読み込まれ、良好に動作するようにすべきである。遅い読み込み時間はユーザーを苛立たせ、サイトを離れる原因となる。

8. 一貫性の欠如
サイト全体でデザインと動作の一貫性を維持すべきである。一貫性のないデザインはユーザーを混乱させ、使いやすさを低下させる。

これらの原則と避けるべきことは、使いやすいウェブ体験を作り上げるための堅実な基盤を提供する。

書評

Steve Krug氏による『Don't Make Me Think, Revisited: A Common Sense Approach to Web Usability (Voices That Matter)』は、Webユーザビリティに関する必読書である。本書は、Webサイトやアプリケーションのデザインにおいて、ユーザー視点に立つことの重要性を説いている。

Krug氏は、ユーザビリティの本質は「考えさせないこと」にあると述べる。ユーザーが目的を達成するために、迷ったり悩んだりすることなく、直感的に操作できることが理想的だと説明する。また、ユーザーの行動パターンを理解し、それに沿ったデザインを心がけるべきだと主張する。

本書では、具体的なデザイン原則や手法が豊富に紹介されている。例えば、ビジュアル階層、ナビゲーション、検索機能、フォームデザインなどについて、ユーザビリティを高めるためのベストプラクティスが示されている。また、ユーザビリティテストの実施方法についても詳しく解説されており、実践的な知見が得られる。

特筆すべきは、Krug氏の軽妙な語り口である。難解な専門用語を避け、平易な言葉で要点を的確に伝えている。豊富な図版やユーモアを交えた説明により、読者は飽きることなく本書を読み進められるだろう。

本書は、Webデザイナーデベロッパーはもちろん、マーケターやプロダクトマネージャーなど、Webサイトやアプリケーションに関わるすべての人に役立つ一冊である。ユーザー中心デザインの本質を学び、ユーザビリティの向上に活かしていただきたい。

本書には、他にも多くの洞察が含まれている。ぜひ一読をお勧めする。UIやUXの改善に取り組むすべての方にとって、示唆に富む良書となるであろう。ユーザビリティとユーザエクスペリエンスを高めるヒントが満載である。